イスラエルの鬼才、インバル・ピントが振付・衣裳・舞台美術を手がける最新作『リビングルーム』が、世田谷パブリックシアターで上演される。
インバル・ピントは13歳からダンスを習ういっぽうで、イスラエルの名門美術学校国立ベツァルエル美術アカデミーでグラフィックデザインを専攻。バットシェバ・アンサンブル、バットシェバ舞踊団を経て、1992年にアヴシャロム・ポラックとカンパニーを結成し、『オイスター/Oyster』『ブービーズ/Boobies』『ボンビックスモリ』『ラッシュ』などを共同で発表。これまでベッシー賞(ニューヨーク・ダンス&パフォーマンス賞)、イスラエル文化省大賞、テルアビブ市芸術功労賞など受賞は数多い。
日本での創作も多く、宮沢賢治や芥川龍之介、村上春樹の作品を題材にしたダンス、ミュージカルなどの話題作、コラボレーション作品を演出・振付してきた。現在はフリーのアーティストとしてダンスや映像、オペラの演出を手がけており、本作はインバル・ピント初の長編デュオ作品となる。
『リビングルーム』はパンデミックの最中に創作されたもので、インバル・ピント自身がデザインを手がけたオリジナルの壁紙に囲まれた舞台が、どこかノスタルジックかつ近未来を思わせる不思議な「リビングルーム」となる。出演は、長年創作を共にしているダンサーのモラン・ミュラーと、ピントの処女作にも出演し、近年ヨーロッパを拠点に活躍してきたダンサー・振付家のイタマール・セルッシ。楽曲はチェリストで歌手のマヤ・ベルシツマンがオリジナル楽曲を提供する。
世田谷パブリックシアターでは10年ぶりの公演を行うインバル・ピント。今回の新作上演にあたり、次のようなコメントを寄せている。
この5月に世田谷パブリックシアターで最新作『リビングルーム』を上演できるのをとても楽しみにしています。さまざまな状況や人々のアイデンティティが流動的な今、どんなに思い描こうとしても現実は予測不可能で、未来はいつでも勝手に書き換わっていきます。私の初めての長編デュオ作品『リビングルーム』は、2人の驚異的なダンサー、モラン・ミュラーとイタマール・セルッシが新しい現実を探し出していく物語です。(プレスリリースより)