2022.9.15

香港「M+」で草間彌生の大規模個展「Yayoi Kusama: 1945 to Now」開催へ。新作も披露

香港に昨年開館したアジア最大級のヴィジュアル・カルチャー博物館「M+」。ここで草間彌生の大規模個展「Yayoi Kusama: 1945 to Now」が開催される。日本国外ではアジア最大の草間彌生の回顧展だ。

草間彌生 Photo: Yusuke Miyazaki.
Courtesy of Ota Fine Arts, Victoria Miro, and David Zwirner
© YAYOI KUSAMA
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 昨年11月、香港の西九龍文化区に誕生したアジア最大級のヴィジュアル・カルチャーミュージアム「M+」。ファインアートだけではなく視覚文化もコレクションとして収蔵するこの美術館が、開館1周年を記念して草間彌生の大規模個展「Yayoi Kusama: 1945 to Now」を開催する。会期は11月12日から2023年5月14日。

 同展は、アジアやヨーロッパ、アメリカの美術館および個人コレクション、M+コレクション、そして作家自身のコレクションから草間作品200点以上を展示するもので、日本国外ではアジア最大規模の草間彌生の回顧展となる。

草間彌生 Shooting Stars 1992 ミクストメディア 320×840×30cm 新潟市美術館蔵 © YAYOI KUSAMA 撮影=上野則宏

 企画を担当するのは、M+の副館長兼チーフ・キュレーターのドリョン・チョンとインディペンデント・キュレーターの吉竹美香。同館ディレクターのスハンニャ・ラッフェルは、「国際的に高い評価を得ている草間彌生氏の分野横断的でグローバルな芸術活動は、M+が提供するものの本質と共鳴している」としており、展覧会への期待を示す。

 展示は草間の初期作品から最新作まで、年代とテーマ別に構成。絵画からインスタレーション、彫刻、ドローイング、コラージュ、動画、記録資料までをカバーしており、「無限」「蓄積」「ラディカル・コネクティビティ」「バイオコスモス」「死」「生命の力」という6つのテーマを通して、日本からアメリカ、ヨーロッパ、そして世界へ展開していった草間の活動を検証するという。また、草間は本展のために大規模インスタレーション《Death of Nerves》を含む3つの新作を披露する。

草間彌生 Sex Obsession 1992 キャンバスにアクリル絵具 194×260cm Lito and Kim Camacho Collection © YAYOI KUSAMA

 ドリュン・チョンは、本展について「草間彌生の芸術の全軌跡を包括的に紹介する中華圏初の回顧展であり、この先見性のある芸術家の業績を全体的かつユニークな視点で見ることができるものとなる」とコメント。また吉竹は、この展覧会が「草間彌生の芸術哲学と人生に新たな光を当てるもの」だとしている。

草間彌生 Pacific Ocean 1960 キャンバスに油彩 183×183cm 東京都現代美術館蔵 © YAYOI KUSAMA
草間彌生 Self-Obliteration 1966-74 ペイントマネキン、テーブル、イス、ウィッグ、ハンドバッグ、マグカップ、皿、ピッチャー、灰皿、プラスチック植物、プラスチック花、プラスチック果実 サイズ可変 M+蔵 © YAYOI KUSAMA Photo: M+, Hong Kong