昨年11月、香港の西九龍文化区に誕生したアジア最大級のヴィジュアル・カルチャーミュージアム「M+」。ファインアートだけではなく視覚文化もコレクションとして収蔵するこの美術館が、開館1周年を記念して草間彌生の大規模個展「Yayoi Kusama: 1945 to Now」を開催する。会期は11月12日から2023年5月14日。
同展は、アジアやヨーロッパ、アメリカの美術館および個人コレクション、M+コレクション、そして作家自身のコレクションから草間作品200点以上を展示するもので、日本国外ではアジア最大規模の草間彌生の回顧展となる。
企画を担当するのは、M+の副館長兼チーフ・キュレーターのドリョン・チョンとインディペンデント・キュレーターの吉竹美香。同館ディレクターのスハンニャ・ラッフェルは、「国際的に高い評価を得ている草間彌生氏の分野横断的でグローバルな芸術活動は、M+が提供するものの本質と共鳴している」としており、展覧会への期待を示す。
展示は草間の初期作品から最新作まで、年代とテーマ別に構成。絵画からインスタレーション、彫刻、ドローイング、コラージュ、動画、記録資料までをカバーしており、「無限」「蓄積」「ラディカル・コネクティビティ」「バイオコスモス」「死」「生命の力」という6つのテーマを通して、日本からアメリカ、ヨーロッパ、そして世界へ展開していった草間の活動を検証するという。また、草間は本展のために大規模インスタレーション《Death of Nerves》を含む3つの新作を披露する。
ドリュン・チョンは、本展について「草間彌生の芸術の全軌跡を包括的に紹介する中華圏初の回顧展であり、この先見性のある芸術家の業績を全体的かつユニークな視点で見ることができるものとなる」とコメント。また吉竹は、この展覧会が「草間彌生の芸術哲学と人生に新たな光を当てるもの」だとしている。