CG映像やUI/UX デザイン、空間インスタレーションなどを手がけ、今年で設立25周年を迎えたビジュアルデザインスタジオ・WOW(ワウ)。その新たなオリジナル作品群を展示する「Unlearning the Visuals(アンラーニング・ザ・ビジュアルズ)」が東京・天王洲の寺田倉庫にて開催される。倉庫内の大きな空間を使った没入感あふれる迫力の映像作品や、実験的な映像作品、インタラクティブな作品など、WOWの持つ多様な表現方法を生かした新作が披露されるという。会期は10月15日〜30日。
WOWは設立から25年。「『ビジュアルデザイン』──『視覚的なモノ・コト(=ビジュアル)はすべてデザインの対象である』」というコンセプトのもと、常にその活動領域を拡張してきた。本展はUnlearning the Visualsの名のもと、これまでの技や感性を糧として、来たるべき30周年を見据えた新たな挑戦の場となるという。
会場では、5つの新作作品が展示される予定だ。《Viewpoints》は、「視点」に着目する作品で、視点を変えたり特定の視点のみにフォーカスすることで意図して景色が再構成され、それまで得られなかった気づきや嗜好を生みだすことにチャレンジするもの。
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《Refraction》は、曲面アクリルによる屈折を利用し、映像を不完全なものにした作品。日々大量の映像情報を無意識的に処理している我々が、ときに不完全な情報を自分のなかで補完し、想像して再構築することで、無限の解像度を手に入れられる瞬間があることを提示する。
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デバイスを「回す」ことで映像が展開されていくインスタレーション作品《回す》。身の回りにあふれる「回す」という直感的な行為を細部から見つめなおし、深く掘り下げることによって、「回す」というインタラクションをあらためて紐解くものだ。
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東北の祝い事や、祝祭行事をテーマにした映像インスタレーション作品《祝彩風祭》では、東北に古くから伝わる「ハレの日」に行う風習を、新たな視点と解釈を加えて再構築することに挑戦する。
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絶えず変化する雲の雰囲気や、風で揺れる木漏れ日を感じさせる《モーション・モダリティ / 風の痕跡を持つ通路》は、会場演出の一部として設計された通路だ。会場で体験する時空を4つに分け、それぞれにおける光のふるまいを操作。静止している空間を活性化し、空間をより豊かなものへと変化させることが目的だ。
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本展覧会を牽引するのはWOWの次世代を担う若手クリエイターたちだ。その高い技術力と表現力が、新たな映像表現のあり方を切り拓く瞬間を目撃したい。