十和田市現代美術館と十和田市に9月から開館する(仮称)地域交流センターで、彫刻家・名和晃平の個展「生成する表皮」を開催することが発表された。会期は十和田市現代美術館が6月18日〜11月20日、(仮称)地域交流センターが10月1日〜11月20日。
名和晃平は1975年生まれ。京都を拠点に活動するアーティスト。情報化時代を象徴する「PixCell」や生命と宇宙、感性とテクノロジーの関係をテーマに、重力で描くペインティング「Direction」、シリコーンオイルが空間に降り注ぐ「Force」、液面に現れる泡とグリッドの「Biomatrix」、泡そのものが巨大なボリュームに成長する「Foam」など、彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。
本展は、名和が大学院生時代に制作したドローイングシリーズ「Esquisse」と代表作である「PixCell」(2021年より寄託作品として展示)のほか、2つの新作などが展示されるものだ。
美術館では初展示となる「White Code」シリーズの新作は、秒速1センチ程でゆっくりと移動する支持体の上を、粘度を調整した絵具が雫のようにしたたり落ちる作品。麻の荒い表面に触れた絵具の粒がボリュームを維持したまま、ときに広がり互いに結びついて不規則に変化していくという。
いっぽう本展のために制作された「Biomatrix (W)」は、真珠のような輝きと高い粘度を持つシリコーンオイルの界面に、気泡(セル)がグリッド状につぎつぎと沸き起こる作品。表面張力いっぱいに張り詰めた透明な気泡がゆっくりとはじけ、その想像を裏切る速度の遅延が、視覚を麻痺させるような感覚を引き起こすものとなる。
なお、9月に開館する(仮称)地域交流センター(設計:藤本壮介)では、名和の版画作品「Array - Black」シリーズの《Dot》や《Line》の平面作品が展示予定となっている。