《太陽の塔》《明日の神話》などでの作品知られる芸術家・岡本太郎。その史上最大スケールの展覧会「展覧会 岡本太郎」が大阪、東京、愛知で開催される。会期は7月23日〜10月2日(大阪)、10月18日〜12月28日(東京)、2023年1月14日〜3月14日(愛知)。
作品はもちろん、「対極主義」 の提唱や著作『今日の芸術』などの文化・芸術論も強い影響力を持ち続けている岡本。
これらの基盤となった画家としてのアイデンティティは、1929年に渡仏してから1940年に第二次世界大戦の影響を受けて帰国するまで、最新の前衛芸術運動になど影響を受ける日々のなかで確立された。
このパリ滞在期(1930年代)の作品はすべて、戦災で焼失している。そのため岡本の初期表現については、1937 年にパリで発刊された初めての画集『OKAMOTO』(G.L.M.社)に掲載されたモノクロ図版と、戦後に岡本自身が再制作した4点から知るよりほかにない。
本展では、再制作された初期作品《露店》《空間》《傷ましき腕》《コントルポアン》の4点すべてが展示される。
例えば《露天》は1983年に岡本自身がグッゲンハイム美術館に寄贈して以降、日本では展示される機会がなかった作品だ。明るい色が並ぶいっぽうで、俯いて笛を吹く売り子のいる屋台の中は暗い構図となっている。
《露天》はシュルレアリスムの影響を受けた重要な作品と見なされており、2021年秋から今年にかけて、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)とテート・モダン(ロンドン)で開催された「国境を越えたシュルレアリスム(Surrealism Beyond Borders)」展にも出品された。
代表作から晩年の作品に加え、《露店》を含む現存する初期作品4点を一望できる本展は、岡本太郎の芸術の核心に肉薄する好機になるだろう。