「芸術は爆発だ!」のフレーズで知られ、絵画・彫刻から写真まで様々なジャンルで活躍した芸術家・岡本太郎(1911~1996)。革命的なビジョンを鮮やかに展開したその全貌に迫る「岡本太郎展」が、大分県立美術館で開催される。会期は12月26日~2020年1月24日。
マンガ家の父・一平と歌人の母・かの子の長男として、神奈川県橘樹郡高津村(現・川崎市)に生まれた岡本。青春期をパリで過ごし、帰国後には鮮やかな色彩と力強い線による独自のスタイルで、絵画や彫刻、壁画、パブリックモニュメントなどを制作した。本展はその代表的な作品や作風の変化を、3つの章でたどろうとするもの。
岡本は帰国後、パリで学んだ前衛的な画法を土台に、自身が「対極主義」と名付けた独自の画風を展開。「対極主義」とは無機と有機、抽象と具象、静と動など相対する要素を、融合させることなく矛盾のままに描き出すこと。1章「自己をみつめる太郎」では、初期傑作として名高い《森の掟》(1950)のほか、マンガ家であった父を思わせる《作家》(1948)など、自己との対話を深めた初期作品を紹介する。
東京国立博物館で縄文土器に魅了された岡本は、1952年に「縄文土器論 四次元との対話」を発表。以降自ら土器や土偶の写真を撮影するほか、京都や東北、沖縄の文化遺産や原初的な日本人の姿を取材した。2章は「日本を見つめる太郎」と題し、岡本が50年代以降に撮影した写真約160点を一挙に展示する。
そして60年代後半からの岡本は、社会問題を反映した作品や世界規模の事業に関わる作品を制作。3章「世界を見つめる太郎」では、川崎市岡本太郎美術館が所蔵する《明日の神話》の国内最大級の原画のほか、《太陽の塔》の50分の1作品や資料、そして《座ることを拒否する椅子》など、幅広い岡本の仕事を紹介する。
制作、文筆、撮影など多様な活動で、社会に向けて芸術のあり方を問い続けた岡本。その初期から後期までをまとめて見ることのできる貴重な機会を、逃さずチェックしてほしい。