アール・ヌーヴォー展からDIEGOの新作個展まで。3連休に見たい展覧会ベスト4

先週から今週にかけて開幕した展覧会、または1月10日までに閉幕する展覧会から、とくに注目したい4つをピックアップしてお届けする。新型コロナウイルス対策にともなう事前予約の方法や注意事項については、各館の公式ウェブサイトを参照してほしい。

「めぐるアール・ヌーヴォー展」の展示風景より

日本と西洋のアール・ヌーヴォーの還流に迫る。「めぐるアール・ヌーヴォー展 モードのなかの日本工芸とデザイン」(国立工芸館)

 東京国立近代美術館のコレクションに京都国立近代美術館が所蔵する関連作品も加えて、「アール・ヌーヴォー」を様々な視点から紹介する展覧会「めぐるアール・ヌーヴォー展」が、金沢の国立工芸館で開催されている。

展示風景より

 アール・ヌーヴォーとは、フランス語で「新しい芸術」を意味する言葉。19世紀末〜20世紀初頭にかけて広くヨーロッパで流行したこの様式の誕生には、遠く離れた日本の美術(ジャポニスム)が大きな影響を与え、また日本でも多くの美術家たちがアール・ヌーヴォーを最先端の美術として受け入れた。

 本展では、この日本と西洋のアール・ヌーヴォーの還流=「めぐる」をキーワードに、そこから生まれた豊かな表現を紹介。アルフォンス・ミュシャ、ルネ・ラリックなどアール・ヌーヴォーを代表する作家たちとともに、同時代の初代宮川香山や二代横山彌左衛門らによる約150点の作品が一堂に会している。

会期:2021年12月25日~2022年3月21日
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:09:30~17:30 ※入館は閉館30分前まで 
休館日:月(1月10日、3月21日は開館)、1月11日
料金:一般 300円 / 大学生 150円 / 65歳以上・高校生以下・18歳未満無料

DIEGOの最新アプローチをチェック。「MY SOCIAL LADDER」(PARCEL)

 街で普段何気なく目にするモノをユーモラスに擬人化したキャラクターを抽象絵画として描くアーティスト・DIEGO。その新作個展「MY SOCIAL LADDER」が、1月8日から東京・馬喰町にあるPARCELで開催される。

©︎ DIEGO

 今回発表する新シリーズでは、脚立や木材など建築資材を思わせる構造物が複雑に絡み合う様子が描かれており、工事現場のように建築や都市構造の建造/解体の両義性が表現されている。その背景には、ストリートのアーティストたちは街のなかで死角となっている場所を好むことから、たびたび資材置き場や建築現場が表現の舞台となることがある。

 また、絵画作品以外にも資材置き場を模したインスタレーションや、無人の工事現場にアーティストが介入するパフォーマンスを記録した映像作品が展示。ストリートの鋭利な視点から社会を眼差し、カラフルで大胆な画風で日本のストリートアートを牽引するDIEGOの最新のアプローチを目撃してほしい。

会期:2022年1月8日~2月27日
会場:PARCEL
住所:東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD HOTEL 1F
開館時間:14:00~19:00 
休館日:月、火、祝
料金:無料

森村泰昌が青木繁《海の幸》と対峙。「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M式『海の幸』ー森村泰昌 ワタシガタリの神話」(アーティゾン美術館)

 石橋財団コレクションと現代美術家の共演として展開される展覧会「ジャム・セッション」。その第2弾として、森村泰昌が青木繁の《海の幸》(1904)と対峙して新作を制作する「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M式『海の幸』ー森村泰昌 ワタシガタリの神話」展が、1月10日に閉幕する。

展示風景より、森村泰昌《M式「海の幸」》(2021)

 1985年にゴッホの自画像に扮するセルフ・ポートレイト作品を制作して以来、古今東西の絵画や写真に表された人物やモチーフに変装し、その像を独自の解釈で再現してきた森村。本展では、日本洋画史における最重要作品のひとつである石橋財団所蔵の青木繁《海の幸》が制作された明治期以降の日本の文化、政治、思想などの変遷を折り込みながら、「森村式」、略して「M式」と名づけた10連の作品《M式「海の幸」》がハイライトとなっている。

 また会場には、森村が青木繁の自画像について考えながら、《海の幸》を研究して制作したジオラマや習作、自らの手による衣装なども展示。《M式「海の幸」》をつくりあげたその道筋を順を追って見ることができる。

会期:2021年10月2日〜2022年1月10日
会場:アーティゾン美術館
住所:東京都中央区京橋1-7-2
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
料金:ウェブ予約チケット 1200円(当日チケット[窓口販売]1500円) / 学生無料(要予約)※詳細は公式ウェブサイトへ

人間と環境の関係性を問いかける。「インター + プレイ」展 第2期(十和田市現代美術館)

 十和田のまち全体をひとつの美術館に見立て、多様なアート作品を展開していくという「Arts Towada」プロジェクト。同プロジェクトの完成10周年を記念し、全3期にわたる企画展「インター + プレイ」が昨年より十和田市現代美術館で開催されている。

展示風景より

 その第2期では、同館常設展示作家のひとりであるトマス・サラセーノの作品が展示。常設作品《オン・クラウズ(エア-ポート-シティ》ともつながりのある「バルーン(空気)」と「クモ」をキーワードに、新作や近年の代表作が紹介されている。

 サラセーノは、人間が地質学的な歴史を変えてしまうほど環境に影響を及ぼしていることにつねに強い関心を持っており、「空気」と「クモ」もそこから関わっている。本展では、ドローイング、インスタレーション、映像作品などを通し、普段意識していない空気の動きを可視化し、私たち人間の生き方についても問いかけている。

会期:2021年10月1日〜2022年1月10日
会場:十和田市現代美術館
住所:青森県十和田市西二番町10-9
電話番号:0176-20-1127 
開館時間:9:00~17:00 ※入館は16:30まで 
料金:大人 1200円 / 高校生以下無料

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