EXHIBITIONS

めぐるアール・ヌーヴォー展

モードのなかの日本工芸とデザイン

2021.12.25 - 2022.03.21

アルフォンス・ミュシャ サラ・ベルナール 1896 東京国立近代美術館蔵

アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド トロポン 1898頃 東京国立近代美術館蔵

杉浦非水 三越呉服店 新館落成 1914 東京国立近代美術館蔵 撮影者=アローアートワークス © 2000

 国立工芸館は「めぐるアール・ヌーヴォー展 モードのなかの日本工芸とデザイン」を開催。東京国立近代美術館のコレクションに京都国立近代美術館が所蔵する関連作品も加えて、「アール・ヌーヴォー」を様々な視点から紹介する(会期中、一部展示替えあり)。

 フランス語で「新しい芸術」を意味するアール・ヌーヴォー。19世紀末〜20世紀初頭にかけて広くヨーロッパで流行したこの様式の誕生に影響を与えたのは、遠く離れた日本の美術だった。そしてジャポニスムの母胎となった日本では、多くの美術家たちがアール・ヌーヴォーを最先端の美術として受け入れた。

 本展は「めぐる」をキーワードに、異なる文化の出会いと、その還流が生み出した豊かな表現を紹介するもの。1860〜1920年代まで、ジャポニスムからアール・ヌーヴォーに至るヨーロッパの装飾芸術の流れと、アール・ヌーヴォーを受容した日本美術を、代表的な作家の作品で概観する。

 出品作家は、アール・ヌーヴォーの時代を代表するアンリ・ヴァン・ド・ヴェルドやアルフォンス・ミュシャ、アール・ヌーヴォー風の表現を取り入れた初代宮川香山や杉浦非水のほか、浅井忠、神坂雪佳、板谷波山など。

 さらに本展では、アール・ヌーヴォーの源泉としての日本美術にも着目。ヨーロッパの人々が熱狂した、日本人の自然への眼差しが通底する日本美術を、多彩な作品によってひも解く。

 ヨーロッパと日本の異なる文化が出会い、めぐりめぐって互いに響きあうダイナミズムや、優れた工芸品を生み出す日本の繊細な感性にふれる展覧会。