ホー・ツーニェンの「百鬼夜行」から「民藝の100年」まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週開幕した展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。

「百鬼夜行」展示風景より、ホー・ツーニェン《100の妖怪》(2021、部分)

妖怪を通じて描き出す近代日本の歴史と精神。ホー・ツーニェン「百鬼夜行」(豊田市美術館)

「百鬼夜行」展示風景より、ホー・ツーニェン《100の妖怪》(2021、部分)

 「あいちトリエンナーレ2019」に参加し、大きな注目を集めたシンガポール出身のアーティスト、ホー・ツーニェン。その新作個展「百鬼夜行」が、豊田市美術館で開幕した。

 ホー・ツーニェンは1976年シンガポール生まれ、現在も同国を拠点に活動している。シンガポールは19世紀には英国領となり、太平洋戦争中には日本の軍政下に置かれていた。ツーニェンはこれまで歴史や伝承を丹念にリサーチし、アジア全域にまたがる複雑な物語を描き出し、現代につながる近代以降のアジアの問題に光を当ててきた。

 今回の個展でホーは、日本古来から存在する「妖怪」を中心に、第二次世界大戦中の日本軍のスパイ、そしてホーがこれまでも主要なモチーフとしてきた「虎」をレイヤーとして作品を構成。近代日本が歩んできた複雑な歴史や精神性を、アニメーションを使いながら浮かび上がらせている。

会期:2021年10月23日~2022年1月23日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
電話番号:0565-34-6610 
開館時間:10:00~17:30 ※入館は17:00まで
休館日:月(2022年1月10日は開館)、年末年始(12月27日〜2022年1月4日)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料

エッジの効いたアートフェアが今年も開催。「3331 ART FAIR」(アーツ千代田3331)

「3331 ART FAIR」1階メインギャラリー

 作品購入で賞を授与する「コレクターズ・プライズ」や、個展開催をバックアップするレコメンドアーティストなど、独自のシステムで存在感を確立してきた「3331 ART FAIR」が10回目の開幕を迎えた。1階メインギャラリーのホワイトキューブでは、初出展のeitoeiko、EUKARYOTE、CAVE-AYUMIGALLERY、SNOW Contemporary、√K Contemporaryのほか、Gallery Qなど計26のギャラリーがプレゼンテーションを実施している。

 また、2階の体育館では木村絵理子(横浜美術館主任学芸員)、田中みゆき(キュレーター/プロデューサー)、西田編集長(インディペンデント・キュレーター / プロジェクト・マネージャー)、山本浩貴(金沢美術工芸大学講師)といったキュレーター陣が選出する新進気鋭のアーティストをグループ展形式で見ることができる。

 さらに今年は。屋上の特別展「のけもの」をFL田SHのディレクター・吉田山がキュレーション。さらに1階ウッドデッキには「カタルシスの岸辺」によるインスタレーションが設置されるなど、エッジの効いた作品を楽しめる。

会期:2021年10月29日~31日
会場:アーツ千代田 3331
住所:東京都千代田区外神田6-11-14
開館時間:12:00〜20:00(31日〜18:30)
料金:一般2500円 / シニア(65歳以上)2000円 / 学生1000円

民藝の歩みを振り返る。「柳宗悦没後60年記念展 『民藝の100年』」(東京国立近代美術館)

「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」展示風景より

 柳宗悦、濱田庄司、河井寬次郎によってつくられた美の概念「民藝」。東京国立近代美術館で、総点数450点を超える作品と資料を通して「民藝」の活動を振り返る展覧会「柳宗悦没後60年記念展『民藝の100年』」。

 展覧会は6章構成、1910〜70年代にかけての「民藝」の動きを時系列でたとどっていく。柳らが蒐集した陶磁器、染織、木工、蓑、籠、ざるなどの暮らしの道具類や、大津絵といった民画のコレクションとともに出版物、写真、映像などの同時代資料を展示。

 また、「美術館」「出版」「流通」という3本柱を掲げた民藝のモダンな「編集」手法と、それぞれの地方の人・モノ・情報をつないで協働した民藝のローカルなネットワークなど、「モノ」の蒐集にとどまらない民藝の活動にもフォーカスした展覧会だ。

会期:2021年10月26日~2022年2月13日
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~17:00(金土~20:00)※いずれも入館は閉館30分前まで。最新情報は展覧会公式ウェブサイトにて要確認 
休館日:月(2022年1月10日は開館)、年末年始(12月28日~ 2022年1月1日)、1月11日
料金:一般 1800円 / 大学生 1200円 / 高校生 700円 / 中学生以下無料

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