日本の映像史に重要な位置を占める「特撮(特殊撮影の略称)」。その領域において、大きな足跡を遺した特撮美術監督・井上泰幸(1922〜2012)の個展「生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展」が東京都現代美術館で開催される。会期は2022年3月19日〜6月19日。
本展は、井上泰幸の生誕100年を記念した展覧会。井上は特撮のパイオニアである円谷英二(1901〜1970)のもと、「ゴジラ」(1954)から特撮美術スタッフの一員としてそのキャリアを本格的にスタートさせた。以降、デザイナー/美術監督として、特撮映画のみならず日本の映画・テレビ史において重要な作品を数多く手がけ、映像文化を支えた。
本展では、井上の遺したスケッチ、デザイン画、絵コンテをはじめ、記録写真や資料、撮影で使用したミニチュアやプロップ、当時を再現した大型撮影セットなどを展示。それらを通して作家の功績と日本の特撮映像史を俯瞰し、次世代への創造的なインスピレーションを喚起することを目指すという。
奇しくも今年は特撮に大きな影響を受け、『シン・コジラ』や『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』などを手がける庵野秀明の大規模個展が国立新美術館で開催されている。これに続く井上泰幸の個展によって、特撮再評価の機運がさらに高まりそうだ。