2013年に直島・宮ノ浦地区に設置されたギャラリー「宮浦ギャラリー六区」にて、アーティスト・下道基行によるプロジェクト《瀬戸内「 」資料館》の新たな展示、《瀬戸内「鍰(からみ)造景」資料館》が8月14日にスタートする。
下道基行はフィールドワー クをベースに、生活のなかに埋没して忘却されかけている物語や日常的な物事を、写真やイベント、インタビューなどの手 法によって編集することで視覚化するアーティストとして知られており、2019年にはヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館にもアーティストのひとりとして参加した。
この下道による《瀬戸内「 」資料館》とは、直島を中心とした瀬戸内海地域の景観、風土、民俗、歴史などについて新しく資料館をつくるというプロジェクト。住民や地域と関わりを持つ人々とともに、各分野の専門家も交え、調査、収集、展示し、語り合う場として構想され、「 」の中には毎回の展示のテーマが表記される。一連の営みは記録として保存し、次への展開に活用されていく。
《瀬戸内「 」資料館》の3回目となる《瀬戸内「鍰造景」資料館》は、銅製錬の際に発生する不純物である「鍰(からみ)」がつくる風景に着目したものだ。
直島では1917年から銅の製錬所が稼働し、その主産業として島の生活を支えてきた。下道は2020年3月に直島に移住し、直島の風景のなかに残る鍰に注目。同年4月には鍰に関心を寄せる島民2名とともに「直島鍰風景研究室」を立ち上げ、1年以上に渡り島に残る鍰の風景を撮影・収集した。本展では、直島だけでなく銅鉱山や、かつて製錬所が存在した町など、銅製錬に縁のある日本各地に下道自身が足を運んで調査した風景が、写真とともに紹介される。