KAWS(本名ブライアン・ドネリー)にとって日本初となる大型個展「KAWS TOKYO FIRST」(7月16日〜10月11日、森アーツセンターギャラリー)。その詳細が明らかになった。
KAWSは1974年アメリカ生まれ。90年代初めにグラフィティアーティストとして頭角を現し、その後93年から96年までニューヨークの美術学校「School of Visual Arts」で学ぶ。バス停の看板に広告を描いた作品などを通じて知名度を上げ、90年代にはグラフィティアート界の一員となり、両目が「✕✕」になったキャラクターはいまや世界的に知られる存在だ。
KAWSは日本との関わりも強い。96年には東京を訪れ、そのサブカルチャーに触れたことで、ストリートアートのプロジェクトにも参加。グラフィティや絵画、グラフィックデザイン、産業デザインはもちろん、ユニクロやディオールなどとのコラボレーションも積極的に行っている。2019年には富士山の麓で「KAWS:HOLIDAY JAPAN」を開催し、話題を集めた。現在はブルックリンミュージアムで個展を開催中。
本展「KAWS TOKYO FIRST」は、2001年に渋谷パルコで開催されたKAWSにとって日本初の個展と同名のタイトル。当時から20年を経たいま、その創作と進化の軌跡をたどりつつ、「原点回帰」するという想いが込められているという。
KAWSは本展に際し、「私は日本文化との強いつながりを感じてきた。それは創作活動における大きな動機とインスピレーションの源だ。この展覧会で20年に渡る数々の作品と、新作のペインティングとスカルプチャーを発表できることを楽しみにしている」とコメント。東京での個展に期待を寄せた。
また本展で日本側の監修を務める山峰潤也(一般財団法人東京アートアクセラレーション共同代表、キューレーター)はKAWSについて「ストリートのコンテクストから出てきていながら、錚々たる美術館でも展覧会を行うなど、飛ぶ鳥を落とす勢い。現代美術の中心に向かっている」と評価する。「SNSでも#KAWSの投稿は150万以上。社会に浸透していることが本質的な魅力。KAWSはすでにある文化や文脈の上に自分のアイデアを上書きすることで、新しい価値をつくりだしていく」。
本展会場にはコマーシャルアートとファインアート双方の領域を網羅するKAWSの視覚的アプローチに迫る絵画や彫像、プロダクトを展示。そのユニークな芸術制作の軌跡や美術史的意義をたどる。
さらにはKAWSが保有するプライベートコレクションのなかから、自身が影響を受けたアーティストの作品も展示される予定だ。合計出品作品数は約150点。KAWSの創作の軌跡を概観する貴重な機会となりそうだ。