2018に塔内の修復を終え、半世紀ぶりに蘇った《太陽の塔》を契機に、いま再び注目を集める岡本太郎の芸術。現在新潟県立万代島美術館で開催中の「岡本太郎展 太陽の塔への道」は、同作を軸に、その世界を体感できる展覧会だ。会期は2021年3月7日まで。
本展では、構想段階から完成、そして再生事業にいたるまで《太陽の塔》の半世紀を一望。同作誕生の舞台となった1970年の大阪万博における「テーマ館」を概観し、全体像を浮かび上がらせる。また《太陽の塔》の誕生にいたる道のりを振り返り、岡本が込めたメッセージや、その芸術の本質を再考する。
高さ70メートルの《太陽の塔》は、たんなる巨大彫刻ではなく、岡本がプロデュースした万博のテーマ展示施設。内部は、高さ40メートルの《生命の樹》がそびえる展示空間となっている。本展では、万博当時の1970年版と、リニューアル後の2018年版の両方の模型を展示。模型はフィギュア制作で知られる海洋堂が手がけた。
頂上に光る黄金の顔、口をとがらせた正面の顔、そして3000枚の信楽焼タイルによる背面の黒い顔。この3つの顔を持つことで知られる《太陽の塔》にはもうひとつの顔がある。それが、塔の地下に設置された《地底の太陽》だ。今回は、万博終了後に所在不明となっていたその原型が、光と音の演出とともに展示される。
加えて本展では、岡本が撮影した縄文土器や、東北各地の写真作品も紹介。「芸術は呪術だ」と唱えた岡本は、縄文土器に美術的な価値を見出した。新たな視点や発想によるその作品からは、強く放たれるエネルギーを感じ取ることができるだろう。