2021年に設立15周年を迎えるrhizomatiks(ライゾマティクス)の個展「ライゾマティクス_マルティプレックス」が、東京都現代美術館で開催される。会期は2021年3月20日〜6月20日。
設立以来、つねに人とテクノロジーの関係を探求してきたライゾマティクス(以下、ライゾマ)。ハードとソフトの開発からオペレーションにいたるまでを、チームが一貫して取り組むフルスタック集団であり、アーティスト、プログラマー、研究者などがそのメンバー。これまでにビョーク、スクエアプッシャー、Perfumeといった世界的に活躍するアーティストや、狂言師・野村萬斎、各分野の研究者らとのコラボレーションを実施してきた。その、多様な視覚化や問題提起型のプロジェクトによって、技術と表現の新たな可能性を追求している。
本展は、ライゾマの美術館における初の大規模個展。ライゾマがこれまでに展開してきた領域横断的なクリエイションを展望するとともに、「現在」とクリティカルにシンクロする新作プロジェクトが展示される。
会場では、変化しやすく不確実な現代社会をとらえ、翻訳共有して可視化するインスタレーションを提示。また、ダンスカンパニー・ELEVENPLAYやミュージシャン・Perfumeとのコラボレーションなど、ビジュアルデザインとプログラミングによって生成される身体パフォーマンスをメディアに変容させ、未知の身体を創出してきた活動を振り返る。
また、新型コロナウイルス緊急事態宣言以前よりライゾマが取り組んできた《Staying TOKYO》や、リアル空間と同じ音や距離感覚の再認識をもたらす《Social Distancing Communication Platform》等のソーシャル・プラットフォームも紹介される。
さらに、ハードウェアの制御とプログラム、ロボットを用いた空間的な新作など、オンラインだけでもオフラインだけでも成立しえない、バーチャルとリアルの領域を往来するハイブリッドなインスタレーションも構築。
こうした新作やアーカイブを通じて、SNSを通じて集められる個人データの問題、ボーダーという概念の考察、機械学習によって成立する観客参加作品など、メイキングやアーカイブ展示を含め、クリティカルな提言を試みるという。
デジタルなネットワーク社会の中にあって、新しい人間性の可能性と、未知の視覚ヴィジョンを追求するライゾマの魅力を伝える展覧会。ポスト・コロナの社会において、人間のコミュニケーションのあり方について、新しい可能性の問いかけを試みる。