絵画とデジタルメディアを組み合わせることで知られており、2002年に飛行機事故で亡くなったルクセンブルク出身のアーティスト、ミシェル・マジェルス。そのマジェルスと村上隆との関係性を探る展覧会「Takashi Murakami:Michel Majerus Superflat」が、9月12日よりベルリンのミシェル・マジェルス・エステートで開催される。
マジェルスと村上は、いずれも1990年代半ばから活躍し始めたアーティスト。村上が日本のアニメ、第二次世界大戦後のイメージ、日本の美術史の典拠を制作テーマにしてきたのに対し、マジェルスはスニーカー、コンピューターフォント、会社のロゴ、電子音楽のアルバム・アートといった90年代の象徴を駆使し、資本主義的リアリズムの影響を受けていたとされている。
村上は数年前にマジェルスの作品を発見し、そのストリートやコンピューター・カルチャーに対する扱いに影響を受けたという。本展では、村上が3年間をかけて取り組んだ作品を展示。マジェルスの作品について、村上はこう評価している。「彼は80年代後半の文化、ゲーム・カルチャー、日本のポップカルチャーなど、あらゆるものを作品の表面にミックスした」。
展覧会のキュレーションは、昨年村上の個展「MURAKAMI vs MURAKAMI」を開催した香港のアートセンター・大館(タイクン)の館長であるトビアス・バーガーが担当。本展について、バーガーは声明文で次のように述べている。
「村上がマジェルスに魅了されるのは、村上と同様、彼が世界のポップ・カルチャーに独特の距離感を持ってフィルターをかけ、戦後世代のドイツ美術を定義するような、描写の批判的なねじれを楽しんだからだ。この批判的な距離感は、世界の裏側でありながら、同じ戦後世代から生まれた村上隆の作品にも見ることができる」。