雨宮庸介の個展「空間には1点の果物彫刻と息ぎれ、のこりはすべてバックヤード」が、東京・西麻布のSNOW Contemporaryで開催される。会期は9月11日~10月10日。
雨宮は1975年生まれ、現在はベルリンを拠点に活動。彫刻や映像インスタレーション、パフォーマンスなど様々な手法で、日常では意識されない普遍的な事象における境界線について再考を促すような作品を制作してきた。近年の展覧会に「未来を担う美術家たち 20th DOMANI・明日展」(国立新美術館、2018)「青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来」(青森県立美術館、2019)などがある。
雨宮は、活動初期からリンゴの彫刻作品シリーズ「apple」をはじめ、クマのぬいぐるみやカエル、バナナなどをモチーフに、あえてサイズに「実物大」と表記する作品を手がけてきた。これらはときに本物のリンゴよりも「リンゴらしい」存在感を放ち、「この世界『らしさ』を疑うことによって、ドミノエフェクト的にこの世界そのものが変質して見えること」に焦点を当てていると雨宮は語る。
本展の準備中にはコロナ禍にみまわれ、リモートワークやネットショッピングなどオンライン社会の仕組みが加速したことを受け、雨宮は「実物大」であるとはどのようなことかを再考。今回は精巧につくられたバナナや柿、梨など複数のフルーツを台座上に構成した彫刻作品を発表する。
また会期中には「Swan Song A の公開練習」と題し、パフォーマンスを実施(各回定員3名・要予約)。息のような「実物大」でありながら不定形なものを、現在の状況下で展覧会にインストールする方法を模索していくという。