金沢21世紀美術館は、6月27日に全館再開が決定。これにあわせ、「de-sport:芸術によるスポーツの解体と再構築」展が開催される。会期は9月27日まで。
本展は、東京2020オリンピック・パラリンピックを翌年に控えたいま、芸術の視点からスポーツの意味を問い直す展覧会。エンターテイメントとしての側面が強い現代のスポーツに対して、その起源に立ち返り、遊戯、身体、国家、戦争、非言語コミュニケーションなど今日の諸問題を映し出す社会的構造物として、芸術の視点からスポーツを再考する。
参加作家は、アローラ&カルサディーラ、エルヴィン・ヴルム、風間サチコ(関連プログラムのみ)、ガブリエル・オロスコ、クリスチャン・ヤンコフスキー、西京人、ザ・ユージーン・スタジオ、シャルル・フレジェ、柳井信乃、リアム・ギリック。地域や文化背景の異なる9ヶ国から、スポーツをテーマにした作品が集結する。
柳井信乃は、ナチス・ドイツを追われて亡命したヴァルター・ベンヤミンの道筋を、たったひとり聖火を持ってたどり直す《Blue Passages》(2016)を出展。スポーツの機能と政治・芸術の関係を考える章では、シャルル・フレジェの「RIKISHI」シリーズや、横浜トリエンナーレでも話題となったクリスチャン・ヤンコフスキーの《重量級の歴史》(2013)を展示する。
加えて、スポーツを遊びの領域へ再び戻す試みとして、エルヴィン・ヴルムや西京人の作品を紹介。また、架空のスポーツ史家による新しいスポーツを記録したフェイクドキュメンタリーである、ザ・ユージーン・スタジオの《Mr.Tagiʼs room and dream》(2014)は、6面の映像インスタレーションとして再構成した新しいバージョンで公開される。
また会場では、同館所蔵のガブリエル・オロスコの《ピン=ポンド・テーブル》を隔週土曜日に実際に体験できるほか、特別上映などの関連プログラムも開催。新たな視点で解体・再構築されたスポーツの「観戦」を楽しみたい。