EXHIBITIONS

アペルト12

安西剛 「ポリ-」

2020.06.27 - 11.23

安西剛 distance 2019

安西剛 distance 2018

安西剛 Artifact no.2 2019

 新進気鋭の若手作家を中心に紹介するシリーズ「アペルト」。12回目となる今回は、日用品やモーターを用いたキネティック・スカルプチャーや、映像作品を制作するアーティスト・安西剛の個展が開催される。

 安西は1987年東京都生まれ。2009年東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業、11年同大学院映像研究科メディア映像専攻修了。日用品、とりわけ安価で大量に出回っているプラスチック製品を主な素材に、それらの機能や意味を無効化し、オブジェクトとして提示したときの見え方について考察している。

 不思議な動きをする日用品、ゴミとなるはずのプラスチックの梱包容器から模られた彫刻、プラスチックの断片をなぞったドローイング。カラフルで楽しげで、どこか子供の遊びの延長のようにも見える安西の作品は、しかし、見知ったものが知らない動きや表情を見せる様子に、どこか得体のしれない気味悪さも感じさせる。

 本展で安西は、プラスチックとそれを消費する私たちの関係を考察し、世界の不可解さと不確かさを問いかける作品を展開。出品作のひとつ《distance》は、ピンホールカメラの仕組みを使った大型のイスタレーション作品で、薄暗い展示室のなかで、カラフルなプラスチック製品が予測不能な動きをする様子を複数のスクリーンで映し出す。壁を隔てたすぐ向こうにある実物とスクリーンを介してしか近づけないさまに、私たちが認識している世界の不確かさを重ねる。
 
 このほか、プラスチックのパッケージを型とした彫刻作品《なにかの抜け殻》や、海岸に漂着するゴミが長い年月を経て発掘され、復元されることを想像するように、海洋プラスチックの破片の修復を試みた《Artifact》などが並ぶ。