幼少期から土俗的信仰や精神世界に関心を抱いてきた金子富之は、山形を拠点に、妖怪や精霊、神などの「目に見えない存在の具現化」をテーマとした日本画を制作している。2015年には文化庁の「新進芸術家海外研修制度」によってカンボジアへ渡り、仏教やヒンドゥー教、精霊信仰の造形美術を研究。その成果を「19th DOMANI・明日展」(2017年、国立新美術館)にて発表し、展覧会のメインビジュアルも担当した。
「荒ぶる神々」と題した本展に出品されるのは、日本神話に登場する水を司る龍神「暗龗(くらおかみ)」を中心とする、神々の姿を描いた作品。目に見えないながら時代を超えて語り継がれ、信じられてきた存在である「神」を実体として表現することを目指す。小アトリエのような空間で、作品の背景となるドローイングノートなど資料を展示するコーナーも設けられる。