石川九楊や戸谷成雄、マティスの作品も。東京都現代美術館の企画展「ドローイングの可能性」をチェック

線を核とする様々な表現を現代におけるドローイングとして注目し、その可能性をいくつかの文脈から再考する展覧会「ドローイングの可能性」が、清澄白河の東京都現代美術館で開催される。参加作家は、石川九楊や戸谷成雄、盛圭太、草間彌生など豪華な顔ぶれだ。会期は3月14日~6月14日(3月14〜15日は休止)。

石川九楊 もしもおれが死んだら世界は和解してくれと書いた詩人が逝った —追悼 吉本隆明 2012 作家蔵

 デジタル化が進む今日、手を介したドローイングの意義は増大している。東京都現代美術館では、線を核とする様々な表現を現代におけるドローイングとして注目し、それらの可能性をいくつかの文脈から再考する展覧会「ドローイングの可能性」を開催。本展では、「言葉とイメージ」「空間へのまなざし」「水をめぐるヴィジョン」をキーワードに掲げ、ドローイングがつねに変化していく人や社会のあり様そのものと示していく。会期は3月14日~6月14日(3月14〜15日は休止)。

 「言葉とイメージの往還」は、今日の視覚表現のなかでもっとも本質的なトピックのひとつといえる。本展では、言葉とイメージの関係や、そのあわいにあるものを「ドローイング」というキーワードから再考。自ら書き下ろしたテキストを作品化した書家の石川九楊やアンリ・マティスの作品を例としながら、イメージだけでなく手書きの言葉も含めてドローイングとしてとらえ、両者の関係を探るという。

戸谷成雄 視線体 ― 散 2019   撮影=武藤滋生 ©︎ Shigeo Toya Courtesy of ShugoArts 参考図版
盛圭太 Bug report 2019 撮影=木奥惠三 参考図版

 また、紙の上に描くといった平面上で広がる線だけでなく、支持体の内部に刻まれるものや、空間のなかで構成される線なども視野に入れて内容を展開。「空間へのまなざし」という観点から、戸谷成雄や草間彌生の初期の仕事や、盛圭太の作品を展示する。

 そして流動的な水をめぐるヴィジョンが、想像力の飛翔を促すドローイングの主題として、画家たちに多く取り上げられてきた点にも注目。ここでは、長期的かつ幅広いスケールで環境をとらえ、多彩な表現活動を行ってきた美術家・磯辺行久、さらに山部泰司の作品などが並ぶ。複雑化した現代において、もっとも根源的でシンプルな表現であるドローイングこそ果てしない可能性を秘めていると再認識する機会になるだろう。​

草間彌生 無限の網 1953 東京都現代美術館蔵
山部泰司 横断流水図 2014 作家蔵

編集部

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