2020.1.14

見えない関係性のなかに「移動する身体」を見る。潘逸舟の個展が神戸アートビレッジセンターで開催

個人と社会のあいだに存在する見えない関係性にフォーカスした作品を手がける美術家、潘逸舟(はん・いしゅ)。その最大規模となる個展「いらっしゃいませようこそ」が、神戸アートビレッジセンターで開催される。会期は2月22日〜3月2日。

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 潘逸舟(はん・いしゅ)は1987年上海生まれ、2012年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。個人と社会の関係性のなかで生じる疑問や戸惑いを、自らの身体や日用品を用いたパフォーマンスで可視化し、映像やインスタレーションなど様々な手法で作品を展開してきた。

 主な展覧会に「アジア・アナーキー・アライアンス」(関渡美術館、台北、2014)、「In the Wake ‒ Japanese Photographers Respond to 3/11」(ボストン美術館、2015ほか)など。2019年にはANOMALYで個展「不在大地」を開催したほか、現在は水戸芸術館現代美術ギャラリー「アートセンターをひらく 第Ⅱ期」に参加。

 そんな潘の最大規模となる個展「いらっしゃいませようこそ」が、神戸アートビレッジセンターで開催される。会期は2月22日~3月2日。本展は同館の公募プログラム「ART LEAP」の第2回であり、審査員は森美術館館長の片岡真実が務めた。

作品制作の様子

 会場が位置する神戸は、異なるルーツを持つ人々の暮らしが複雑に入り組む街。約150年前には多くの日本人が神戸港から海を渡って移民となったが、現在の日本は労働力を受け入れる側に変化している。潘は「移動する身体」をテーマに、昨年7月から制作準備を開始。神戸における移民の歴史や外国人移住者・労働者の現状を探るためのリサーチなどを行ってきた。

 展覧会タイトルの「いらっしゃいませようこそ」は、文字通り歓迎を意味すると同時に、消費社会における需要と供給の境界をつなぐ接客用語でもある。本展は「消費社会」「労働力」を背景に、潘が労働者とともに働いた実体験とリサーチ活動から着想を得た新作で構成される。

※2020年2月29日追記
新型コロナウイルス感染症対策のため、3月3日〜15日は臨時休館。本展の会期は3月2日までに変更となった。