主にフランスのアール・ヌーヴォー、アール・デコ期のガラス工芸や、現代日本画の名作を揃える長野県諏訪市の北澤美術館。今回、そんな同館のコレクションを通じて、ガラス工芸家ルネ・ラリック(1860~1945)の作品の魅力を伝える展覧会「北澤美術館所蔵 ルネ・ラリック アール・デコのガラス モダン・エレガンスの美」が、目黒の東京都庭園美術館で開催される。なお本展は、オリンピック・パラリンピック開催に際して2020年を盛り上げるために、東京都が展開する文化の祭典「Tokyo Tokyo FESTIVAL」のひとつだ。会期は2月1日〜4月7日。
ガラスを素材としたエレガントな作品の数々で、アール・デコの時代を切り開いたルネ・ラリック。ガラスは、加工が容易で量産にも適していることから、時代の変化とともに19世紀末頃より急速に普及していった。ラリックは、アール・ヌーヴォーの時代から、貴石に代わる新素材としてガラスを用いており、20世紀に入ると芸術性と実用性を兼ね備えた独自のガラス作品を手がけ、新時代を創出した。そのガラス作品には、透き通る光の清らかさや貴金属を思わせる重厚な輝きなど、フランス装飾美術の精神「ラール・ド・ヴィーヴル(生活の芸術)」が豊かに受け継がれている。
本展では、世界屈指のガラス・コレクションを有する北澤美術館所蔵のルネ・ラリック作品より、アール・デコの時代を代表する名品約220点をピックアップ。正面玄関ガラスレリーフ扉など、ラリックの作品が内部を飾る東京都庭園美術館の「アール・デコの館」旧朝香宮邸を舞台に、数々の名作が紹介される。
いっぽう、建築家の永山祐子が手がける新館ギャラリーの展示は、ラリックが活躍した1925年のパリのアール・デコ博覧会の煌めきが立体的に浮かび上がるという構成だ。旧朝香宮邸と対照的な空間である新館では、朝香宮家が旧蔵していたラリック作品や、昭和天皇が皇太子時代に外遊の記念にパリから持ち帰った花瓶なども特別展示されるのでチェックしたい。