2019.11.12

今年の鉄道芸術祭は「都市と身体の関係性」がテーマ。国内外から3名のアーティストが参加

2010年より京阪電車・なにわ橋駅のアートエリアB1で開催されてきた「鉄道芸術祭」。Vol.9となる今年は「都市と身体の関係性」をサブテーマに据えて展開されている。開催期間は12月29日まで。

小沢裕子 BLUE WAVES 2016 映像
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 2010年より京阪電車・なにわ橋駅のアートエリアB1では、鉄道の創造性に着目した企画展「鉄道芸術祭」を開催してきた。そのVol.9となる今年は「都市と身体の関係性」をサブテーマに据えて展開されている。

 本展の出品作家は、ジョンペット・クスウィダナント、小沢裕子、武田晋一。国内外の3組のアーティストが、今日の都市の状況と都市生活者の様々な振る舞い、それを生み出す身体を独自の視点でとらえ直した作品を展示する。

ジョンペット・クスウィダナント Words and Possible Movements 2013
Photo courtesy of Jompet Kuswidananto

 インドネシア出身のジョンペットは、自国の複雑な成り立ちと歴史文化や現代社会への洞察をもとに、群衆と個、姿なき声やメッセージを照射するインスタレーションを発表。

 映像作品を手がける小沢は、大阪の在留外国人が多く住むエリアや、文楽・浪曲といった語りについてリサーチ。日本人と外国人双方の言葉によるコミュニケーションのあり方などを考察したリサーチベースの新作映像を制作した。 

武田晋一 from my house to Pantalooon(18/2 2018) 2018

 武田は、既製品を加工したオブジェと、自作のドローイングや植物などを組み合わせた作品で知られる。本展では鉄道の近代化と同時に派生した外来植物(雑草)の存在に着目し、フランス留学を経て移住した奈良・東吉野村と、会場がある大阪・中之島の道行、 都市と地方の移動や運搬といった要素を踏まえて作品を構成したという。

 三者三様の「都市の身体」にまつわる表現を通じて、改めて都市の輪郭をイメージし、他者や自らの声に耳をすませることで、この国や異国の地、都市部や地方を行き交う人間の身体知について感じる機会としたい。