2019.9.14

兵庫の2つの芸術祭から慰霊のエンジニアリングまで、今週末に見たい3つの展覧会

今週スタートした展覧会のなかから、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。この機会をお見逃しなく。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2019
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六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2019(六甲ガーデンテラス、六甲山カンツリーハウスなど全11会場)

榎忠《エンドタブ》の展示風景

 神戸の六甲山で2010年より毎年秋に開催されている芸術祭「六甲ミーツ・アート 芸術散歩」が、9月13日にスタートした。10回目の開催を迎え、節目との年となる今回は、全11会場で作品展示が展開。

 公募大賞でグランプリを受賞した岩谷雪子は六甲山の入り口となる六甲ケーブル山上駅に16点もの作品を点在させ、榎忠は、会期中特別に公開される建築家・安藤忠雄「風の教会」でインスタレーションを展示。その「風の教会」と隣接する元ホテルの跡地では、2017年に結成された、美術作家・鈴木泰人と建築家・本間智美によるユニット「OBI」がインスタレーションを展開する。そのほか、大﨑のぶゆき、江頭誠、児玉多歌緒、伊藤存、藤本由紀夫、若田勇輔ら42組のアーティストが参加。

 神戸の街並みと港を見渡せ、自然と歴史、文化を楽しめる六甲山で現代美術作品を楽しんでほしい。

会期:2019年9月13日~11月24日
会場:六甲ガーデンテラス、六甲山カンツリーハウスなど全11会場
開館時間:会場によって異なる
休館日:会期中無休
料金(有料5会場):一般(中学生以上) 2200円 / 4歳〜小学生 1100円

 

アート・プロジェクトKOBE 2019:TRANS-(兵庫港地区、新開地地区、新長田地区)

グレゴール・シュナイダー《美術館の終焉─12の道行き》(2019)より《白の拷問》 

 「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2019」と同じく兵庫県で行われるのが、神戸を舞台とした「アート・プロジェクトKOBE 2019:TRANS-」。9月14日に開幕した本展の参加作家は、やなぎみわとグレゴール・シュナイダーの2名だ。

 やなぎは海に面した神戸市中央卸売市場で、代表作のひとつ《日輪の翼》を3日間限定で上演。やなぎ自ら輸入・デザインした台湾製の大型ステージトレーラーを舞台に、俳優のみならずタップダンサーやポールダンサー、和楽アーティストら多彩な出演者とともに各地で公演を行ってきたこの「巡礼劇」が、恵比寿神の漂流と兵庫津で入滅した一遍上人の遊行に重ね、踊り念仏とともに上演される。

 いっぽうシュナイダーは、市内8ヶ所で「美術館の終焉―12の道行き」と名付けられた作品群を発表。鑑賞者は第1留から第12留までを訪ね歩くことで、シュナイダー作品ならではの時空がねじれた非現実的な体験を堪能することができる。公共空間を使った大規模な作品の数々にも注目したい。

会期:2019年9月14日~11月10日
会場:兵庫港地区、新開地地区、新長田地区

 

un/real engine - 慰霊のエンジニアリング -(TODA BUILDING 1F)

展示風景より、檜皮一彦《hiwadrome::type THE END spec5 CODE:invisible circus》(2019)

 2021年に創業140周年を迎える戸田建設が、アーティストや建築家とともにつくるアートイベント「TOKYO 2021」。オリンピック・パラリンピック以降の日本を考える機会として、超高層ビルへの建て替えを目前に控えた東京・京橋の戸田建設本社ビルを舞台に、建築展と美術展が開催される。

 9月14日に開幕した美術展は、黒瀬陽平がキュレーター、西澤徹夫が会場構成を務め、20年の東京オリンピックと25年の大阪万博という2つの「祝祭」に向けて企画。参加作家には、会田誠、飴屋法水、磯村暖、宇川直宏、梅沢和木、梅田裕、大山顕、カオス*ラウンジ、カタルシスの岸辺、キュンチョメ、今野勉、たかくらかずき、高山明、竹内公太、寺山修司、中島晴矢、中谷芙二子、名もなき実昌、八谷和彦、檜皮一彦、藤元明、三上晴子、宮下サトシ、山内祥太、弓指寛治、渡邉英徳、Houxu Que、MES、SIDE COREらが名を連ねる。

会期:9月14日〜10月20日
会場:TODA BUILDING 1F
住所:東京都中央区京橋1-7-1
料金:無料