記号的な線の奥に見える「穴」や「崖」。本山ゆかりの個展をYutaka Kikutake Galleryでチェック

最低限の要素である「線」を追った絵画を手がけるアーティストの本山ゆかりによる個展「その出入り口(穴や崖)」が、東京・六本木のYutaka Kikutake Galleryで開催される。会期は9月14日〜10月19日。

本山ゆかり 画用紙(二つの山と河) 2018

 本山ゆかりは1992年生まれ、2017年京都市立芸術大学大学院油画専攻修了。絵画を構成する最低限の要素である「線」を追った作品を手がけてきた。近年の主な展覧会に「東京・占い・ジャーニー」(VOLVO青山、2018)、「この現実のむこうに Here and beyond」(国際芸術センター青森、2017)、「裏声で歌へ」(小山市立車屋美術館、2017)などがある。

 そんな本山による個展「その出入り口(穴や崖)」が、東京・六本木のYutaka Kikutake Galleryで開催される。会期は9月14日~10月19日。

 本山は15年から、絵画を構成する要素を分解・再構築する「画用紙」シリーズに取り組んできた。このシリーズは、デジタルペイントツールで描かれた多数のドローイングからモチーフを選択し、それを透明なアクリル板に白と黒の絵の具で描くという手順で制作。描かれた面の裏側を展示することで絵の具のマチエールは見えなくなり、ドローイングの線はシンプルな記号に還元される。

 同ギャラリーでは初の個展となる本展で本山は、石、マッチ、風になびく草などをモチーフとした新作を中心に発表する。展覧会タイトルの「穴や崖」とは、描かれるモチーフの記号的要素を鑑賞者に伝えることの困難さを表現した言葉。作家と鑑賞者のあいだに存在する認識の距離感としての「穴」や「崖」に向き合い、本山が提示する新たな絵画の姿に注目したい。

編集部

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