日本美術においてアジア憧憬はどのように深化されたか。東京都庭園美術館の展覧会に岸田劉生、藤島武二、安井曾太郎ら
1910年から60年ごろにかけて続いた日本美術におけるアジア憧憬が、その後どのように深化されたかをたどる展覧会「アジアのイメージ 日本美術の『東洋憧憬』」が、目黒の東京都庭園美術館で開催される。会期は10月12日~2020年1月13日。
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1910年から60年ごろにかけて、日本の知識人や美術愛好家、美術家たちがアジアの古典美術に憧れた時期があった。このアジア憧憬が、その後どのように深化されたかをたどる展覧会「アジアのイメージ 日本美術の『東洋憧憬』」が、目黒の東京都庭園美術館で開催される。会期は10月12日~2020年1月13日。
本展は、「アジアへの再帰」「古典復興」「幻想のアジア」の3章構成。第1章ではそのタイトル通り、絵画の領域における「アジアへの再帰」にフォーカス。東西1キロメートルにわたり5万体以上の石仏が彫られた中国・大同市の世界文化遺産「雲岡石窟」と画家たちの遭遇や、チャイナドレスの婦人を描いた岡田謙三や藤島武二、安井曾太郎、そして西洋から学んだ静物画に東洋の壺を引用した岸田劉生、前田青邨らの作品群が並ぶ。
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そして工芸の領域における 「古典復興」をテーマとする第2章では、北大路魯山人や河井寛次郎をといった工芸家の名作を堪能できる。工芸家たちは、アジアから来る楽浪漆器や古代青銅器、唐三彩、磁州窯といった発掘品、そして中国陶磁や李朝白磁、文人が煎茶に応用した籐籠・竹籠などが、アジアの古典美術であると再認識し、そのかたちや紋様をパリ伝来のアール・デコに組み込んだ。これは当時の工芸家にとって、創造の障害であった日本工芸の伝統を再構築する試みであったという。
しかしこうしたアジア憧憬は、60年ごろ制作の表舞台からフェードアウト。最終章となる「幻想のアジア」では、新館ギャラリーを会場に、日本美術の根底でいまも生き続けているだろうアジア憧憬を、今日のアートシーンを牽引する岡村桂三郎(画家)、田中信行(漆芸家)、山縣良和(デザイナー)の3名が模索していく。