西洋でジャポニズムを巻き起こし、マネやゴッホなど多くの画家に影響を与えた浮世絵師、葛飾北斎。その展覧会が東洋文庫ミュージアムにて開催されている。会期は2020年1月13日まで。
北斎は88年という生涯のうち、およそ70年にわたり精力的に筆をふるい続けた。19歳で勝川春章に入門以降、浮世絵だけでなく、狩野派、土佐派、西洋風などさまざまな画法を学んでいたといわれている。その奇抜な発想や大胆な構図で、いまも国内外から高い評価を受け、多くのアーティストに影響を与え続けている。
北斎の作品といえば、迫力の大波や赤富士を描いたあの《冨嶽三十六景》(1830-34頃)を思い浮かべる人が多いだろう。これまでさまざまな展覧会で取り上げられてきた北斎だが、そのスポットライトの影にはまだまだ知られざる作品が数多く残されている。
本展では、《冨嶽三十六景》をはじめとする有名作品ではなく、普段見る機会の少ない個性的な作品に着目。現存が数例しか確認されていない稀少本《春の曙》や、芸事の発表会プログラムなど、東洋文庫が所蔵する北斎作品を可能な限り網羅的に展示している。
また会期中には、北斎作品をより深く味わうためのミュージアム講演会や、同時開催「東洋文庫×修復のお仕事展」での変わり屏風づくりワークショップなどが予定されている。大人も子供も楽しみながら、北斎の作品制作の新たな一面を見つけることができるだろう。