2020年、開館50周年を迎える島根の足立美術館に「魯山人館」がオープン。これを記念した杮落とし展として、「美の創造者 北大路魯山人」が開催される。
北大路魯山人(1883~1959)は若くして書と篆刻で身を立て、当時の風流人と交流を深めた。料亭「星岡茶寮」を開設し料理人としての声望を得るほか、食の空間を彩る食器・花器を手がけ、書画、陶芸、漆芸といった様々な分野でその作品は濃密な個性を放っている。
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本展では、同館が所蔵する魯山人コレクションから厳選した約120点を展示。魯山人作品の最高峰のひとつに数えられる《金らむ手津本》(1945頃)といった陶芸や、刻字看板《淡海老鋪》(1913)といった代表作を見ることができる。また晩年の書《いろは屛風》(1953)など、新たに収蔵された作品が初公開となる。
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そしてこれに続いて開催されるのが「横山大観の全貌」展だ。初期から晩年にいたるまで「日本一の大観コレクション」を所蔵することでも知られる同館。本展は、そのなかから本画(写生や下図を含まない完成作品)のみを100点、展示替えなしで一挙に公開する初の試みとなる。
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横山大観(1868~1958)は明治・大正・昭和の画壇を牽引した近代日本画の第一人者。今回は、初期の出世作として名高い《無我》(1987)や、画業50年を記念して描かれた連作《山海二十題》(1940)のうち8点、そして最晩年の名作《霊峰夏不二》(1955)《山川悠遠》(1957)といった作品を展示。その画業を一望するまたとない機会となっている。
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