ワン・ビンの映像世界を堪能。ドクメンタ14の出展作品《15Hours》を日本初公開

国際的に活躍する映画監督であり映像作家、ワン・ビンの個展が、東京・東麻布のTake Ninagawaで開催される。本展では、2つの映像作品、《15Hours》と《Man with no name》(2009)を見ることができる。ドクメンタ14で上映された《15Hours》は、今回が日本初公開。会期は9月7日〜10月19日。

ワン・ビン 15 Hours 2017 (C) Wang Bing, Courtesy of the artist and Galerie Chantal Crousel, Paris, and Take Ninagawa, Tokyo

 王兵(ワン・ビン)は1967年中国陝西省西安生まれ。魯迅美術学院写真学科を卒業後、北京電影学院映像学科に入学。98年に映画監督・映像作家としてデビューし、99年に9時間を超える画期的なドキュメンタリー『鉄西区』を完成させた。同作は、2003年の山形国際ドキュメンタリー映画祭グランプリをはじめ、リスボン、マルセイユの国際ドキュメンタリー映画祭、ナント三大陸映画祭などで最高賞を獲得した。

 また同作に続いて「右派闘争」の時代を生き抜いた女性、フォン・ミンの証言で構成した『鳳鳴ー中国の記憶』(2007)で2度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭グランプリを受賞。その後も『三姉妹ー雲南の子』(2012)でヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリ、『収容病棟』(2013)でナント三大陸映画祭銀の気球賞、『Mrs.Fang』(2017)でロカルノ国際映画祭金豹賞など、数々の国際的な賞に輝いてきた。

 映画界にとどまらず、美術のフィールドでも高く注目されるワンは、代表作《Man with no name》(2009)をはじめとする多くの映像作品を制作。14年には、パリのポンピドゥー・センターにて1ヶ月以上にわたる回顧展が開催され、大きな注目を集めた。

 17年にはドクメンタ14に参加し《15Hours》を発表。同作でワンは、中国の縫製工場で15時間の長回しによる撮影を敢行。構成された30万人の移民労働者の毎日の労働をとらえた。また同展ではワンの回顧上映も行われた。

 今回、Take Ninagawaで開催されるワンの個展では、2つの映像作品、《15Hours》と《Man with no name》を見ることができる。《15Hours》は、本展が日本初公開。映画監督、そしてアーティストとして活躍してきたワンの映像世界を堪能したい。

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