ロンドンのナショナルポートレートギャラリーをはじめ、イギリス国内外のギャラリーや美術館で展覧会を行ってきた写真家マーク・ヴァサーロ。その個展が、伊勢丹新宿店メンズ館内にあるギャラリースペース「ART UP」で始まった。
マーク・ヴァサーロは1971年イギリス生まれ。セントラル・セント・マーチンで美術を学び、92年より日本に拠点を移し活動している。多数のブランドの広告キャンペーンを手がけるいっぽう、個人としても活動。「花」に注目し、その瑞々しさを繊細な写真作品として発表してきた。
近年では静岡県下田の白浜にアトリエを構え、陶芸作品も制作。これららには日本のミニマルな美意識がベースになっているという。作品には白浜のビー チの砂を釉薬と混ぜあわせたり、木々を燃やした炭を練りこんだりと、独特のテクスチャーを見ることができる。
本展タイトルの「Emptiness is Form」はヴァサーロが大切にしているという禅の考え方に由来するもので、「色即是空 空即是色」の英訳「Every form in reality is empty, and emptiness is the true form.」から取られている。会場には、日本の「陰影」に着目したモノトーンの作品が並ぶ。