2000年から日本有数の豪雪地帯、新潟・越後妻有地域で行われてきた「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。草間彌生やジェームズ・タレルらによる常設作品を見ることのできる「大地の芸術祭」の里の春会期が、雪解けとともに4月27日にスタートした。
今回その会期に合わせ、第1回大地の芸術祭へ参加以来、妻有の人々や自然と深い関係を築いてきた作家・河口龍夫の個展「時の羅針盤」が開催されている。
河口は1940年生まれ、62年に多摩美術大学の絵画科を卒業。65年にグループ「位」の活動で注目を集めて以来、「大地の魔術師たち」(ポンピドゥー・センター、1989)など数々の展覧会に出展。その後も国内外で発表を続け、今年2月には「関係―中原佑介、あるいは創造としての批評」(アートフロントギャラリー)を本展に先駆けて開催した。
本展では、鉱物から発芽した種子や立ち枯れのひまわりを箱に納めた作品、鉛板の周囲と周辺空間の関係を可視化した作品など、河口の初期作から代表作までを紹介。また、2003年の大地の芸術祭で発表された、地域の納屋や倉庫に眠る農具に種子を封印した《関係―農夫の仕事》も再展示される。
物質への関心や独自の哲学に基き、関係や時間、生命といった不確かなものを可視化する作品を手がけてきた河口。土地との関係性にも注目しながら、その活動の軌跡をたどってみたい。