河口龍夫が越後妻有で個展「時の羅針盤」を開催中。土地とのつながりから、作家の活動の軌跡をたどる

新潟・越後妻有地域の「大地の芸術祭」の里で、越後妻有2019春がオープンした。これにあわせ、同地と深い関係を築いてきた作家・河口龍夫の個展「時の羅針盤」が磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館 [SoKo]で開催されている。会期は~5月6日(春会期)、8月10日~18日(夏会期)、10月~11月(秋会期、日程は調整中)

河口龍夫「時の羅針盤」(磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館、2019)展示風景

 2000年から日本有数の豪雪地帯、新潟・越後妻有地域で行われてきた「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。草間彌生やジェームズ・タレルらによる常設作品を見ることのできる「大地の芸術祭」の里の春会期が、雪解けとともに4月27日にスタートした。

 今回その会期に合わせ、第1回大地の芸術祭へ参加以来、妻有の人々や自然と深い関係を築いてきた作家・河口龍夫の個展「時の羅針盤」が開催されている。

 河口は1940年生まれ、62年に多摩美術大学の絵画科を卒業。65年にグループ「位」の活動で注目を集めて以来、「大地の魔術師たち」(ポンピドゥー・センター、1989)など数々の展覧会に出展。その後も国内外で発表を続け、今年2月には「関係―中原佑介、あるいは創造としての批評」(アートフロントギャラリー)を本展に先駆けて開催した。

 本展では、鉱物から発芽した種子や立ち枯れのひまわりを箱に納めた作品、鉛板の周囲と周辺空間の関係を可視化した作品など、河口の初期作から代表作までを紹介。また、2003年の大地の芸術祭で発表された、地域の納屋や倉庫に眠る農具に種子を封印した《関係―農夫の仕事》も再展示される。

 物質への関心や独自の哲学に基き、関係や時間、生命といった不確かなものを可視化する作品を手がけてきた河口。土地との関係性にも注目しながら、その活動の軌跡をたどってみたい。

編集部

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