河口龍夫は1940年生まれ。62年に多摩美術大学絵画科を卒業して以来、50年以上にわたって金属や光、熱などのエネルギー、化石や植物の種子を素材に、物質と人間や時間との関係をテーマにしたコンセプチュアルな作品を制作してきた。
河口作品の主要なコンセプトにあるのが、「関係」という概念だ。多くの作品のタイトルにもなっているこの「関係」がいかなるものかを見続け、批評した人物に美術評論家の中原佑介(1931〜2011)がいる。
現代美術の黎明期である戦後の日本で精力的に批評を書き続けながら、重要な展覧会の企画も手がけた中原。そのひとつである70年の「東京ビエンナーレʼ70(第10回日本国際美術展) 人間と物質展」には、河口も参加した。
本展では、タイトルを「関係―中原佑介、あるいは想像としての批評」として、中原による著書『関係と無関係 河口龍夫論』(2002、現代企画室)の装丁に使用された、河口によるドローイングの原画29点を展示。また、同書を素材とした小作品も見ることができる。
なお本展は、今年のゴールデンウィークから磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館で開催される「河口龍夫展:時の羅針盤」に先駆けて開催されるもの。こちらもあわせてチェックしたい。