女性をモチーフに、CGや特殊メイクを駆使した独自の作風で知られるやなぎみわ。2009年には第53回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表として参加するなど、国際的に高く評価されているアーティストだ。
10年からは演劇プロジェクトもスタート。大正期の日本を舞台に新興芸術運動の胎動を描いた『1924』(「Tokyo-Berlin」「海戦」「人間機械」から成る三部作) で話題を集め、16年より台湾製のトレーラー車をステージに日本各地を巡礼する野外劇『日輪の翼』(原作=中上健次)で、多くの人々に感動を与えた。
そんなやなぎの約10年ぶりとなる大規模個展「神話機械」が、現在高松市美術館で開催されている(〜3月24日)。本展は同館での展示会期終了後、4月19日より群馬県のアーツ前橋に巡回。
本展は、東日本大震災以降の福島で「日本神話」と「桃」をテーマに取り組んできた写真シリーズ「女神と男神が桃の木の下で別れる」を含む新作および近作で構成される。これに加えて、「モバイル・シアター・プロジェクト」の一貫として、美術・機械工学・舞台芸術が交差する実験的なライブパフォーマンス《MM》も上演予定だ。
ここではやなぎが、京都造形芸術大学、京都工芸繊維大学、香川高等専門学校、群馬工業高等専門学校、福島県立福島工業高等学校の5校と協働し製作したマシン4機が、ウィリアム・シェイクスピア、ハイナー・ミュラーなどの戯曲の一場面を演じる前人未踏の展示空間に出現する。