「LOVE」が制約される現代に一石を投じる。磯村暖がEUKARYOTEの個展で新作および近作を発表

磯村暖の個展「LOVE NOW」が、東京・外苑前のEUKARYOTEで開催される。ワタリウム美術館での個展から1年ぶりとなる本展は、LGBTQや移民、宗教といったキーワードを組み込んで制作してきた近年の活動を紹介するもの。会期は11月30日〜12月24日。

磯村暖 LOVE NOW ワットパイローンウア寺院(タイ)での展示風景 2018

 磯村暖は1992年東京生まれ。2016年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業後、17年に「ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校」第2期を最優秀作家として卒業。訪れた土地や日本で出会う移民たちの故郷の文化や宗教美術、物理学、SNS上の美学などを参照したインスタレーションや絵画を制作しているアーティストだ。

 近年のおもな個展に「Good Neighbors」(2017、ON SUNDAYS/ワタリウム美術館)、「Two glasses of water/20000000000000000000000000 water molecules」(2017、セントラル・セントマーチンズ)、「A glass of water/1000000000000000000000000 water molecules」(2016、遊工房)。またグループ展では「NAKAMA de ART」(2018、帝国ホテルプラザ)、「URA TARO SHOW」(2017、川崎市岡本太郎美術館)、「平成27年度上野芸友賞展」(2016、東京藝術大学)に参加してきた。

磯村暖 Joss Paper for Lovers 2018 台北關渡美術館での展示風景 撮影=黃湧恩

 アーティストとして各パラダイムにおける異質なものを照射してきた磯村は、今年に入ってARCUS projectからの助成による台北關渡美術館やタイのワットパイローンウア寺院での滞在制作を経験。また、新木場agehaで開催されたキースヘリング生誕60周年記念イベントでのコラボレーションや、香取慎吾の呼びかけによる展覧会「NAKAMA de ART」の抜擢など、社会とアートを柔軟につなぐ存在としても注目を集めている。

 そんな磯村の個展「LOVE NOW」が、東京・外苑前のEUKARYOTEで開催される。ワタリウム美術館での個展から1年ぶりとなる本展は、磯村暖の直近2年間の活動を紹介するもの。

 そのなかでも、会期中に随時追加されていく「地獄の亡者像」シリーズは、磯村が近年継続して制作に取り組んでいる重要なアートワークのひとつだ。磯村は「同性愛の罪」「国籍を持たない罪」といった罪状が表面に書かれた亡者像を、鑑賞者と同じ地表に設置することで善悪が反転する可能性を示唆することを試みる。

 加えて、新作のドローイングや、在日ネパール人との協働作品《HOME PARTY, 2017》の再インストール、LGBTQの当事者でもある磯村が台湾での同性婚をテーマに制作した《Joss Paper for the lovers, 2018》、そしてそこから展開されていった《LOVE NOW, 2018》も展示される。

 社会における違和感を取り上げる作風から発展し、LGBTQや移民、宗教といったキーワードを組み込んで制作してきた近年の活動を「未知の異物との横断的な関わり」として総括する本展は「LOVE NOW」と題され、「LOVE」が制約される現代の社会通念・パラダイムをアップデートし、不可能を可能とすることを狙う。

編集部

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