演劇の「共有知」を活用し、社会の「共有地」を生み出してきた「シアターコモンズ」。2017年にスタートしたこのプロジェクトは、日常生活や都市空間の中で「演劇をつかう」=「演劇的な発想を活用する」ことで、「来たるべき劇場/演劇」のかたちを提示することを目指している。そして、演劇的想像力によって、異質なものや複数の時間が交わり、日常を異化するような対話や発見をもたらす経験をアーティストとともに仕掛けてきた。
今回は、演劇公演のみならず、レクチャー形式のパフォーマンス、創作プロセスを参加者と共有するワークショップなどを実施する。
参加するのは、作品を通して古代から続くカースト制や近代化による社会差別の構造を浮き彫りにしていくシャンカル・ヴェンカテーシュワラン、実在の「登場人物」が、東京や川崎の在日コリアン排斥の痕跡を辿る旅を通して対話を重ねる《可傷的な歴史(ロードムービー)》を日本初公開する田中功起のほか、小泉明郎、マキシム・キュルヴェルス、オグトゥ・ムラヤ、島崇 | パブロ・ピカソ、中村佑子 | スーザン・ソンタグ、萩原雄太 |太田省吾、ワン・ホンカイ、ラビア・ムルエ、高山明/PortB(関連企画)。日本初来日アーティストを含め国内外から計12組が集まる。
見どころは、観客が初見で朗読に参加する「リーディング・パフォーマンス」の初開催や、スーザン・ソンタグの戯曲初邦訳。そして、演劇と美術の間、パフォーマンスとワークショップの間など、ジャンルや形式を越境するプログラムの数々だ。
また、1月20日には参加作家のシャンカル・ヴェンカテーシュワラン、高山明、文芸批評家の安藤礼二、司会をシアターコモンズ・ディレクターの相馬千秋が務めるオープニング・シンポジウムが行われる。
オリンピックを間近に控えた東京の都市空間に、いかに社会の「コモンズ」は生み出されるのか? 日本初公開作品も多く含まれるプログラム詳細は公式ウェブサイトからチェックしてほしい。