2019.1.30

ソフィ・カルが都内3ヶ所で個展を同時開催。どこで何が見られる?

フランスを代表する現代美術家、ソフィ・カル。2月2日からはその個展を東京都内3ヶ所で同時に見ることができる。原美術館、ペロタン東京、ギャラリー小柳の3会場の見どころとは?

「ソフィ カル 限局性激痛」原美術館コレクションより 展示風景 ©Sophie Calle / ADAGP Paris and JASPAR Tokyo, 2018 Photo by Keizo Kioku
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 物語と現実、公と私の間を行き来しながら、言葉や写真、パフォーマンス、映像を混ぜ合わせた作品を発表してきたソフィ・カル。2月2日より、その個展を東京都内3ヶ所で同時に見ることができる。

>>インタビュー:ソフィ・カルが語る作品制作の姿勢(アティチュード)。「私の目的は『壁』と『本』」

「ソフィ カル ─ 限局性激痛 原美術館コレクションより」(原美術館)

「ソフィ カル 限局性激痛」原美術館コレクションより 展示風景 ©Sophie Calle / ADAGP Paris and JASPAR Tokyo, 2018 Photo by Keizo Kioku

 まずはすでに開幕している原美術館の個展「ソフィ カル ─ 限局性激痛 原美術館コレクションより」をチェックしたい。

 本展は、原美術館で1999年に開催された同名の展覧会をじつに20年ぶりにフルスケールで展示するというもの。《限局性激痛》はカルの代表作とも言える作品で、カル自身の失恋体験がベースとなっている。

 作品は「人生最悪の日」までの出来事を最愛の人への手紙と写真とで綴った第1部と、その不幸話を他人に語り、代わりに相手の最も辛い経験を聞くことで、自身の心の傷を少しずつ癒していく第2部で構成。サイズから構成まで、本作はすべてが原美術館のためにつくられている。

会期:2019年1月5日〜3月28日
開館時間:11:00〜17:00(水〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし2月11日は開館)、2月12日
料金:一般 1100円 / 高校・大学生 700円 / 小・中学生 500円 ※学期中の土曜日は小学・中学・高校生無料

ソフィ・カル なぜなら(ギャラリー小柳)

ソフィ・カル 子供なし、胸 2018 © Sophie Calle / ADAGP, Paris, 2019 Courtesy of Perrotin and Gallery Koyanagi Photo by Claire Dorn

 銀座のギャラリー小柳では個展「なぜなら」が開催。本展では、国内初公開となる「Parce que」シリーズから新作9点が展示される。

 同シリーズは、額装された写真の全面に「Parce que(なぜなら)」から始まるテキストを刺繍した布が垂らされ、それをめくると写真が現れる構造となっている。写真を見る前に「なぜなら」を知らされることによって、イメージだけでは見えてこない独自の視点や心境を垣間見ることができる。

会期:2019年2月2日~3月16日
開館時間:11:00~19:00
休館日:日、月、祝
料金:無料

ソフィ・カル「Ma mère, mon chat, mon père, dans cet ordre(私の母、私の猫、私の父、この順に)」(ペロタン東京)

ソフィ・カル Mes Mains 2018 デジタル写真 27x42cm ©Sophie Calle / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2019.

 六本木のペロタン東京では、「Ma mère, mon chat, mon père, dans cet ordre(私の母、私の猫、私の父、この順に)」が行われる

 本展では、シリーズ「Autobiographies(自伝)」より近年死去したソフィ・カルの母親、父親、猫にまつわる近作を展示。加えて、2014年に死去したカルの愛猫・スーリーをテーマにしたシリーズ「Souris Calle(スーリー・カル)」が日本で初めて公開される。生や死といったソフィにとっても重要なテーマを扱った作品をチェックしたい。

会期:2019年2月2日〜3月10日
開館時間:11:00〜19:00
休廊日:日、月、祝日
料金:無料

ソフィ・カル「Voir la Mer 海を見る - Shibuya Crossing」(渋谷スクランブル交差点)

「Crossing the Line Festival – ソフィ・カル: 海を見る」curated by French Institute Alliance Française (FIAF)  ニューヨーク・タイムズ スクエア Courtesy the artist and Perrotin

 今回、3ヶ所の個展に加えて注目したいのが、渋谷スクランブル交差点の4面街頭ビジョンで行われる作品上映「Voir la Mer 海を見る - Shibuya Crossing」だ。

 《Voir La Mer (海をみる)》は、海に囲まれたイスタンブールに住みながら、一度も海を見たことのない人々が初めて海を見た瞬間をとらえたもの。今回の作品上映は2月3日〜9日の毎0時〜1時にかけて行われ、深夜の渋谷にカルの作品が流れる。このプロジェクト実施の協賛はビズリーチ、企画制作は株式会社NIONの守屋貴行。