角文平は1978年福井県生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザインコースを卒業後、2年連続(2006年、07年)で岡本太郎記念現代芸術賞にて特別賞を受賞し、注目を集めた。
その後1年間のパリ留学を経験し、帰国後から本格的に作家活動をスタート。13年の瀬戸内国際芸術祭以降は各地の芸術祭にも参加し、現地でのリサーチをもとにインスタレーション作品も展開してきた。
子供のように自由な発想とそれを素直に表現する力、加えて日本人らしい繊細な造形力を軸に持つ再現力を特徴とする角の作品。そのユーモラスな作品の表象からテレビ番組のプログラムなどにも取り上げられることも多い。
今回、東京・代官山のアートフロントギャラリーで開催される個展で、角は技巧に重きを置いた表現からいかに脱却できるかを模索。本展は、2つの異なる部屋で2つの展覧会が行われる。
ひとつはこれまでと同様に、ユーモラスなアイデアで日常的なものを組み合わせた立体作品を紹介するものであり、既製品の組み合わせに加え、キネティックな要素によって「時間」を付加した新作および近作が並ぶ。ある作品では、ドラム缶の上に連想ゲームのように積み上げられ、噴水をモチーフに絶え間なくその中身を循環させている。
もういっぽうの展覧会では、薄暗い空間のなかで明滅する灯りと時折膨らむ風船が生き物の呼吸を連想させる「Sleep」シリーズを発表。ただの立体作品にとどまらない角の新たな挑戦を、2つの展覧会で楽しみたい。