知られざる作家の発掘や見過ごされてきた美術の紹介などを中心とする「近代美術の再検証」、辰野金吾設計による重要文化財の丸の内駅舎内にある美術館としての「鉄道・建築・デザイン」、さらに新しい時代、新しい丸の内にふさわしい「現代美術への誘い」という3つの柱を掲げる、東京ステーションギャラリーが2019年の展覧会スケジュールを発表した。
まずは、ドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアム企画の世界巡回展であり、フィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルトに関する作品約300点が一堂に会する「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」(2月16日〜4月14日)が神奈川県立近代美術館 葉山を経て同館に巡回。また、2019年は同じくフィンランドを代表するセラミック・アーティスト、ルート・ブリュックの没後20年、日本ーフィンランド外交樹立100周年を迎える。この記念すべき年に開催する「ルート・ブリュック展(仮)」(4月27日〜6月16日)は、本展が日本初の大規模な回顧展となる。
そして、知られざる作家に焦点を当ててきた東京ステーションギャラリーの「隠し球」だと館長の冨田章が語るのは、個性的な版画を多数手がけるもナチスの強制収容所で命を落としたサミュエル・イェスルン・デ・メスキータの「メスキータ展(仮)」(6月29日〜8月18日)。本展も、作家の全貌を紹介する日本初展覧会となる。
また、日本近代美術における孤高の画家、岸田劉生の人生の歩みをたどる「没後90年記念 岸田劉生展(仮)」(8月31日〜10月20日)は、肖像画、静物画、風景画などが揃う大規模な展覧会となる。その後、東京駅を設計した建築家、辰野金吾の人物像に迫る「没後100年記念特別企画 辰野金吾展(仮)」(11月2日〜12月24日)も開催。
そして、日本画家のなかで他に先駆けて抽象画の論理を体得した坂田一男の東京での初大規模個展「坂田一男展(仮)」(12月7日〜2020年1月26日)は、造形作家の岡﨑乾二郎が監修を担当する。
なお、これらの展覧会の前には、「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」「没後100年記念特別企画 辰野金吾展」という2つの建築展に関するワークショップや講演会を行う「東京駅で建築講座 2」(1月25〜27日)も開催されるため、こちらもチェックしてほしい。