EXHIBITIONS

吉村芳生 超絶技巧を超えて

吉村芳生 新聞と自画像2008.10.8 毎日新聞 2008 個人蔵

吉村芳生 ドローイング 金網(部分) 1977 個人蔵

吉村芳生 ジーンズ 1983 個人蔵

吉村芳生 バラ 2004 みぞえ画廊

 1文字1文字をすべて書き写した新聞紙、1年間毎日描き続けた365枚の自画像、17メートルにわたって延々と続く金網など、緻密な描写で超絶リアルな作品を生み出した、吉村芳生の東京初回顧展が開催される。

 1950年山口県に生まれた吉村は、版画のフィールドで内外の美術展に出品を重ね、いくつかの美術館に作品が収蔵されるなど高い評価を得るも、知名度の高い作家ではなかった。90年代以降は、山口県展や画廊での個展が中心の地道な活動を継続。そしてついに、「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展(森美術館)に出品した作品群で大きな話題を呼ぶなど、遅咲きの花として快進撃を続けた吉村だが、2013年に世を去った。

 本展では、初期のモノトーンによる版画やドローイング、後期の色鮮やかな花の作品、生涯を通じて描き続けた自画像など、600点を超える展示品によって吉村の全貌を紹介。描くこと、生きることの意味を問い直す真摯な作品の数々が並ぶ。