2018.10.18

テーマは東京湾の埋立地。ジョシュア・オコンが彫刻と映像で見せる壮大なインスタレーションとは

メキシコ拠点のアーティスト ジョシュア・オコンの個展が、東京・浅草のギャラリー「ASAKUSA」で開催される。東京都の埋立地問題をテーマに、ネイチャードキュメンタリーの手法で展開される新作インスタレーションに期待が高まる。会期は10月20日〜11月11日。

ジョシュア・オコン

 ジョシュア・オコンはメキシコ拠点のアーティスト。ドキュメンタリーや即興を織り交ぜることで、フィクションと現実が交わる状況を生み出すオコンの作品は、社会的実験の要素が強いものとして知られている。

 メキシコを出自とするオコンは、政治的断層の特異性に分け入り、様々な団体の主張とその正当性を巡る問題を探るような映像作品を発表。現代社会における対立を明確にしながらも、独特のユーモアで視点を切り替えるその手法で、一方的な意見の対立を乗り越えた認識の先へと鑑賞者を促してきた。

 今回、東京・浅草のギャラリー「ASAKUSA」で開催される個展「下(アンダー)」では、いまもなお進行中の東京湾埋立地をテーマとした新作を見ることができる。同作では、岩石による彫刻インスタレーションを前に、大自然の光景が3台の高解像度モニターに映し出されるが、その大自然の地下には東京都が排出したゴミが堆積している。

 大自然や野生生物の生態を描くネイチャードキュメンタリーの手法で展開される同作は、環境問題を啓発し、その意識を消費者に内面化させる。そのいっぽうで、自然を商業化し、さらなる消費活動を促す新自由主義的な環境政策のあり方をも指摘している。