ジョルジュ・ルオーは、厚塗りの油彩画や版画作品などで知られる20世紀フランスを代表する画家のひとり。敬虔なキリスト教徒だったルオーは、生涯にわたって「受難」や「キリスト像」などの宗教主題に取り組んだ。そうした主題を通して、ルオーの作品には人間の苦悩、あるいは慈悲や赦しが表現されている。
そんなルオーの真髄ともいえる「聖なる芸術」に焦点を当てる展覧会「開館15周年特別展 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ」が、パナソニック 汐留ミュージアムにて開催される。
画題は伝統的であるいっぽうで、色彩や形体、そしてその調和といった造形表現は極めて革新的だったルオー。また、その作品の根底には、同時代の社会や人間に対する深い共感と理解があり、現実的な問題を訴える力がそなわっている。本展は、ルオーが描いた聖なる芸術の意味とその現代性(モデルニテ)をあらためて問い直すという内容だ。
パリやヴァチカンなど、国内外から集結した珠玉の作品たちが一堂に会する貴重な機会である本展。なかでも見どころは、ヴァチカン美術館が初めて日本に出品する《秋 または ナザレット》などの作品4点だ。ルオー独自の美しい聖書の世界を堪能できることができる。
革新的な造形表現で描かれた独自の世界を、国内外の名品も合わせ、油彩、水彩、版画、資料の約90点を通して存分に鑑賞できる、まさにルオーの集大成といえる内容となる。その力強い世界観に圧倒されるだろう。