ジャン・ピゴッツィは1952年パリ生まれ、74年ハーバード大学卒業。卒業の同年に行ったパリ市立近代美術館での個展以来、「Pigozzi and the Paparazzi」(ヘルムート・ニュートン財団写真美術館、ベルリン)、「Johnny Stop」(ガゴシアン・ギャラリー、ニューヨーク)、「My World, Jean Pigozzi」(ユーレンス現代美術センター、北京)など各地で写真展を開催。写真家に加え実業家、慈善家、アートコレクターとしても知られ、社交界で名を馳せてきた。
7歳で写真を撮り始めて以来、自身を取り巻くすべてを日記帳のスタイルで撮影してきたピゴッツィ。ロバート・フランクやヘルムート・ニュートンに多大な影響を受け、自身の友人でもあるアンディー・ウォーホール、アンジェリカ・ヒューストン、ダイアン・フォン・ファステンバーグといった人々の姿を華やかな社交場、享楽的な余暇の中で自然かつ親密にとらえてきた。
今回、SCAI PARKで開かれる「POOL PARTY PHOTOS BY JEAN PIGOZZI」展では著名人の集まる自宅プールを舞台に撮影した写真を発表。Kaikai Kiki Galleryの「CHARLES AND SAATCHI THE DOGS」展ではピゴッツィの愛犬たちを、躍動感を持ってとらえた写真を展示する。
ピゴッツィにとって身近な存在・場所を中心とした両シリーズは、彼のパーソナルライフの記録であると同時に、写真という記録を前提とした日常生活の演出だとも言えるだろう。さらに、影や手足といったかたちで自身の写真に登場することも多いピゴッツィにとってカメラは、世界と積極的に関わっていく役割を果たしているとも言えるのかもしれない。