石塚元太良は1977年東京都生まれの写真家。「氷河」「パイプライン」「ゴールドラッシュ」などをモチーフに、アラスカやアイスランドなどの極地でランドスケープを撮影、時事的なテーマに対し、独自のイメージを提示してきた。
石塚が作品制作のコンセプトとして掲げてきたのは「相反するものの共在」。「Photography=写真」の語源が「photo=太陽、光」と「graphy=描くこと」という、自然物と人工的な所作が同居したものであることを知り、ツンドラや針葉樹林のような「大自然」と、無機質なパイプラインといった「人工物」をともに追ってきた。
本展でもそのコンセプトは徹底され、極夜の薄明かりのなか、アラスカとアイルランドの氷河にLEDライトを照射して撮影したシリーズ「MIddle of the night」を発表。「人工」のライトに照らされた「自然物」の姿を写し取っている。さらにこのシリーズに加え、「実在」の流氷の写真を合成加工し、「架空」の巨大な流氷に仕上げたパノラマ写真作品を展示。切り取る風景や、作品を仕上げる手法の中に息づく「相反するものの共在」を提示する。