ボスコ・ソディは1970年メキシコシティ生まれ。地元の原土を焼き上げた彫刻作品など、素材を素手で扱い、その物理的な性質や変化の偶然性を尊重した作品制作を続けてきた。
本展のタイトル「Terra è stata stabilita」とはラテン語で「大地の確立と安定」を意味する語で、ローマ帝国の全盛期について語る書籍の一節、賢帝ハドリアヌスについての言及から引用されたもの。本展では、ソディ自らが昔ながらの方法で精製した粘土を、直方体に成型し素焼きにした彫刻1600個を重ねた2メートルの大きな立方体が出現する。遺跡のように積み上げられたその作品は、会期中、鑑賞者の参加によって次第に崩れ、生きた彫刻として姿を変えていく。
その周囲を囲むように展示されるのはソディが2007年から制作しているシリーズ「untitled」。ソディがスペイン・バルセロナ在住時に発見した19世紀の古い植物図版を支持体に、シリコン絵の具が塗布されたその作品群は、柔らかな質感から有機的な自然の変化を想起させ、彫刻作品と呼応する。
なお、会期中に変化していく作品の様子は、定期的に撮影され、展覧会後にカタログに収録される予定となっている。