19世紀末のフランスでナビ派の一員として出発した画家ピエール・ボナール(1867~1947)は、浮世絵の影響が顕著な装飾的画面により、「日本かぶれのナビ」の異名を取った。20世紀に入ると、目にした光景の印象をいかに絵画化するかという「視神経の冒険」に身を投じ、鮮烈な色彩の絵画を多数生み出す。
日本で14年ぶりの大回顧展となる本展では、パリのオルセー美術館の特別協力を得て、ボナールの作品140点以上を展示。平坦な色面構成や掛け軸風の縦型作品といった日本美術からの影響をたどる第1章「日本かぶれのナビ」、ボナール絵画の代名詞である「浴室の裸婦」を紹介する第4章「近代の水の妖精たち」、どこか謎めいたボナールの室内画を「親密さ」をテーマに概観する第5章「室内と静物『時間の静止』」など7つの章で構成される。
絵画とあわせて、ボナールを世に知らしめたリトグラフによるポスターや版画集、創造の手がかりとなった日常のスナップ写真なども展示。様々なジャンルの作品を通じて謎多き画家・ボナールの魅力に迫る。