人間にとって、もっとも身近で、西洋の芸術家たちが絶えず向き合い、挑み続けてきた「ヌード」。ヌードはいつの時代においても永遠のテーマとしてあり続け、ときには批判や論争の対象となってきた。
「ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」と題された本展は、世界屈指の西洋近現代美術コレクションを誇るイギリス・テートの所蔵作品を中心に、19世紀後半のヴィクトリア朝の神話画から現代の身体表現まで、西洋美術の200年にわたる裸体表現の歴史を紐とくもの。
フレデリック・ロード・レイトンが神話を題材として描いた理想化された裸体から、ボナールらの室内の親密なヌード、シュルレアリスムの裸体表現、人間の真実に肉迫するフランシス・ベーコン、さらにはバークレー・L・ヘンドリックスやシンディ・シャーマンなど、現代における身体の解釈をとおして、ヌードをめぐる表現がいかに時代とともに変化し、また芸術表現としてどのような意味をもちうるのか、絵画、彫刻、版画、写真など約130点でたどる。
なかでも、男女の愛を永遠にとどめたと評されるロダンの高さ180センチ余りの大理石彫刻《接吻》は日本初公開。世界にたった3点しか存在しない傑作が来日するとあって、その注目度は高い。
なお本展は、シドニー、オークランド、ソウルの巡回を経て、日本会場では、フランシス・ベーコンの油彩作品(東京国立近代美術館蔵、富山県美術館蔵)や横浜美術館の写真コレクションなど数点の国内作品が追加出品されるという。