大島成己は1963年大阪府生まれ。一般的な写真のあり方に抗った作品を制作、発表している。
2011年より制作を続けているシリーズ「haptic green」は、被写体への焦点距離を変化させて撮影した数百枚のカットを、コンピューター上で格子状に繋ぎ合わせ、一枚の写真として再構成したもの。「部分」を見る近い距離と「全体」を見る遠い距離が混在し、鑑賞者の空間認識を揺さぶる作品となっている。その制作のなかで大島は、同様に多視点から空間をとらえ制作していた、ポール・セザンヌの存在を常に意識していた。
本展では、同シリーズの新作として、セザンヌが制作の舞台とした南仏・エクサプロヴァンスに赴き、撮影した作品を展示。セザンヌが描いた石切場の作品と同じ構図で撮影をした、オマージュとなる作品をはじめ、独自にセザンヌを解釈し、その思考の継承を「写真」によって試みるという、新たなプロジェクトの成果を発表する。