1983年に竣工した「つくばセンタービル」は、建築家・磯崎新の代表作のひとつ。ホテル、コンサートホール、商店街、広場などからなる複合施設で、筑波研究学園都市の中核をなしている。
その中にはかつて「筑波第一ホテル」が入っており、客室の内装はインテリアデザイナーの倉俣史朗が担当していた。しかし、90年代のバブル経済の崩壊により、ホテルの運営会社が倒産。その後、別の企業によって経営が続けられているものの、客室やカフェには大規模な改修が施され、倉俣がこのホテルのためにデザインした貴重なインテリアはほとんどが失われてしまった。
「Arata ISOZAKI × Shiro KURAMATA: In the ruins」と題された本展は、この「つくばセンタービル」に焦点を当てる展覧会。ライティングデスクや鏡といった、改修に伴う廃棄を免れた倉俣デザインの希少な家具や、磯崎が「つくばセンタービル」のコンセプトを表現した版画作品「TSUKUBA」シリーズなどが出品される。
そのほか、倉俣のアクリルオブジェや磯崎デザインの椅子などもあわせて展示。日本のポストモダンムーブメントを牽引した2人のコラボレーションを、ギャラリーで再び見ることができる。