朱志康インタビュー:六甲山の風と出会う神聖な空間──《対話》に込めた精神世界とは【2/3ページ】

風と共鳴する空間

──展示場所について、なぜ記念碑台に作品を設置しようと思ったのですか。ちょうど各会場のハブのような位置にあり、多くの人が訪れやすいという地理的優位性もあるかと思います。

 それもありますし、眺望の良さもありますが、一番期待しているのは風です。ここは少し高台になっているから、風がよく通ると思ったのです。紙垂が風にそよぐ様子や、その際に発生する音も作品の重要な要素です。また、毎朝ここに来ると霧がかかっていて、紙垂の白と共鳴して神秘的な雰囲気が感じられます。

作品内では、風に紙垂がそよぐたび心地よい音に包まれる
作品内では、風に紙垂がそよぐたび心地よい音に包まれる 写真提供(*):朱志康空間規劃

──制作にあたって、何か困難はありましたか。

 地元の台湾で展示をするときはトラブルがあっても対応できます。が、海外の展示ではそうはいきません。今回とくに気を使ったのは紙垂です。約3ヶ月も野外で展示を行うので、風雨に耐えられる紙素材を探すのが大変でした。設置の際も紙垂が切れたり破れたりしないか気を使いました。風が強く吹くと紙垂の向きが一方に偏ったりします。現地で設置作業をしていくなかで、これらの一つひとつ問題を解決していきました。

──日本での展示や活動の経験はまだあまり多くはないようです。日本の建築やデザイン、アートについて、どのような印象をお持ちですか。

朱 日本には大好きな建築家が何人もいて、日本を旅行するたびに彼らの建築を見て回ります。具体的には、妹島和世さん、安藤忠雄さん。おふたりの仕事から見える、純粋な形や洗練されたデザインに惹かれます。私は装飾的なものよりも簡潔明瞭なデザインが好きです。《対話》でも、簡潔な仕事をしようと心がけました。

作品の周囲を眺めたり、小さな入り口から中に入って風を待ったりと、思い思いに鑑賞する人々

編集部

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