「美術館営業の世界」に必要なこととは?
──マウリッツハイス美術館の営業部門は、ほかのオランダの代表的な博物館と比較すると新しく設立されたと伺いました。営業部門が設置されるまでの経緯を簡単にお聞かせください。
私がマウリッツハイス美術館に就職した2003年には、営業部門はまだなかったということをお伝えしておく必要があるかと思います。当時、アムステルダム国立美術館やアムステルダム市立美術館などのオランダの主要な博物館には、すでに営業部門がありましたが、当館はコレクションの展示を行っている小規模な美術館でした。私はマーケティング・コミュニケーション部門の社員として就職し、3年ほど団体予約や電話対応などを担当しました。その後、理事会が建物の改修と増築を決定し、工事を経て、美術館は2014年にリニューアルオープンしました。増築の結果、近代的なイベントルームができたので、イベント部長を経て、国際的な市場への進出を機に海外営業部長に任命されました。それ以前は、国外からのツアー予約はあったものの、当館として新たな顧客やパートナーにアプローチすることはなかったのです。
──美術館の営業活動と聞くと馴染みのない方も多いかと思うので、海外営業部長としてのあなたの役割と責任について、お聞かせいただけますか?